クライムクラッカーズ

クライムクラッカーズ：PlayStationを彩ったアクションRPG

1994年12月3日、ソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたPlayStation用ソフト『クライムクラッカーズ』（CRIME CRACKERS）は、メディアビジョンが手掛けたアクションRPGです。同社にとって初めてのゲームソフトであり、PlayStationのローンチタイトルとして大きな注目を集めました。原作はここまひによる漫画『超光世紀スター・クラッカーズ』で、銀河警察に代わる賞金稼ぎ組織の一員である主人公エミリア・F・アルカネットが、行方不明になった兄を探す冒険を描いています。

ゲームシステム：RPGとFPSの融合

ゲームシステムは、一人称視点で施設内を探索し、敵を倒しながらステージを進んでいくというものです。ジャンルはRPGとされていますが、キャラクターのレベルは設定されておらず、ゲームデザインはFPSに近い特徴を持っています。

プレイヤーは、施設内に落ちているアイテムを有効活用しながら、敵との戦闘を繰り広げます。インターミッション、物語パート、アクションパートが交互に展開し、ゲーム全体を構成しています。インターミッションでは、武器やアイテムの売買が可能で、次の冒険に備えることができます。

登場人物：個性豊かなピンクドルフィンチーム

主人公エミリアは、IQ300の天才的な頭脳を持つアルカネット家の令嬢で、ピンクドルフィンチームのリーダーです。自ら設計した宇宙船やメカを使用し、ハンドブラスターを武器に戦います。攻撃力は低いものの、消費が少ないため、探索に適しています。

チームメンバーには、元惑星フォクスの騎士リーザ（剣）、アルカネット家に仕える戦士ドラン（大型銃火器）がいます。サポートメンバーには、コンピューター操作に長けたサポートドロイドのログ、ハッキングを得意とするコンピューターエルフのポプリ・ヴァンプ、そしてピンクドルフィン号の操舵を担当するパロットがいます。

ピンクドルフィン号：圧倒的な火力

ピンクドルフィンチームが使用する宇宙船「ピンクドルフィン号」は、エミリアが一人で設計したものです。最大の武器は、一撃で敵の宇宙船を撃破するほどの威力を誇る主砲「ドルフィンキャノン」です。戦闘機も搭載しており、あらゆる状況に対応できます。エミリアの兄が使用する宇宙船「ブルーシャーク」も登場します。

開発秘話：7ヶ月間の猛ダッシュ

本作の開発は1994年のゴールデンウィークに決定し、それからわずか7ヶ月という短期間で完成しました。メディア・ビジョンの創設者である福島孝氏は、2022年のインタビューで、PlayStationビジネスの立ち上げに携わった会社としての誇りと、本体の発売に間に合わせたいという強い思いがあったと語っています。

アニメーション制作の経験不足から、エンディングにアニメーションムービーを採用したことも明かされています。また、福島氏が原作者のここまひ氏と知り合いだった縁もあり、原作のシナリオと設定をゲームに落とし込むことができたことで、ゲームシステム開発に専念できたと振り返っています。

高品質なアニメーションと今後の展開

PlayStationの動画再生機能を活かした高品質なエンディングアニメーションは話題を呼びました。しかし、福島氏は、オープニングにアニメーションを使用していればもっと成功したのではないかと指摘されることも多かったと述べており、その反省を活かし、2年後に発売された『ワイルドアームズ』ではオープニングにアニメーションを採用しています。

『クライムクラッカーズ』は、短期間での開発、個性豊かなキャラクター、そして当時としては画期的なアニメーションなど、多くの要素が詰まったPlayStationの歴史に残る作品です。2007年にはPlayStation 3とPlayStation Portable向けにゲームアーカイブスで配信され、より広い世代にプレイできるようになりました。CEROレーティングはA（全年齢対象）です。

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