クライン孝子

クライン孝子について

クライン孝子（クラインたかこ、1939年 12月15日 - 2023年4月22日）は、日本のノンフィクション作家、拓殖大学客員教授です。満州（現中国東北部）に生まれ、第二次世界大戦終結後に日本へ引き揚げました。その後、ドイツのフランクフルト近郊のエシュボルン市に在住し、日本とドイツを往復しながら執筆活動を行いました。

生い立ちと日本での生活

満州で生まれたクライン孝子は、戦後、京都府福知山市で小学校時代を過ごし、その後愛知県江南市に移り住みました。滝中学校・滝実業高等学校（現・滝中学校・高等学校）を卒業後、3年間家事を手伝いながら大学進学のための学費を貯め、岐阜市立女子短期大学英文科に入学しました。学費はすべてアルバイトで賄ったという苦労人でもありました。

ドイツでの生活と活動

短大卒業後、帝国ホテルや外資系貿易会社に勤務したのち、1968年に渡欧しました。当初は生活費を稼ぐために、外資系企業やホテル、旅行会社などで働いていましたが、次第にガイドや通訳の仕事をするようになりました。その傍ら、チューリッヒ大学でドイツ文学、フランクフルト大学で近代西洋政経史を学びました。

フランクフルト大学在学中にドイツ人学生と結婚し、一児をもうけました。1983年以降は、作家・評論家として日本で著作を発表し、評論活動も積極的に行ってきました。著書では、ドイツでの生活経験を基に、日本とドイツの文化や社会の違いを比較し、日本社会のあり方について鋭い視点で分析しています。

社会活動

2007年には、慰安婦問題に関する対日非難決議案に反対する抗議書に賛同者として名を連ね、歴史認識問題にも積極的に関わりました。また、チャンネル桜の番組にも出演し、自身の意見を発信していました。

死去

2023年4月22日、ドイツにて肺炎のため死去しました。亡くなる1週間前まで日本に滞在し、チャンネル桜の対談番組に出演していました。享年83歳でした。

著作の特徴

クライン孝子の著作は、ドイツでの生活体験を踏まえ、日本とドイツの文化、社会、教育、政治などの多岐にわたるテーマを扱っています。特に、日本社会の様々な問題点を指摘し、ドイツと比較することで日本の改善点を提示する内容が多く見られます。また、歴史認識問題にも関心が深く、自身の見解を積極的に発信していました。彼女の著作は、日本社会に対する批判的な視点と、日本社会の発展を願う強い思いが込められているのが特徴です。

主な著作

『幸せへの前奏曲　―ドイツで頑張ってマス―』(1983年)
『ドイツに暮らす』(1984年)　※『幸せへの前奏曲』の改題版
『「自由買い」 1963ベルリンの密約』(1987年)
『統一ドイツ・その知られざる素顔』(1992年)
『統一ドイツ・新たなる苦悩』(1994年)
『麻薬解禁』(1996年)
『歯がゆい国・日本なぜ私たちが冷笑され、ドイツが信頼されるのか』(1997年)
『もどかしい親と歯がゆい若者の国・日本』(1998年)
『歯がゆいサラリーマン大国・日本なぜドイツ人は、不況にも動じないのか』(1999年)
『甘やかされすぎるこどもたち』(1999年)
『歯がゆい日本国憲法なぜドイツは46回も改正できたのか』（2000年）
『捨てない生活快適なドイツ流ライフスタイル』(2001年)
『愛するわが子を「サル」にする親、「ヒト」にする親』(2001年)
『お人好しの日本人したたかなドイツ人』(2001年)
『「対話」劣等生の眠たい日本人』(2002年)
『拉致!!　―被害者を放置した日本　国をあげて取り戻したドイツ―』(2003年)
『国家の決断　―7つの課題―』(2006年)
『日本の果たす役割と進むべき方向第33回防衛セミナー講演集』(2007年)
『大計なき国家・日本の末路　―日本とドイツ、それぞれの戦後を分けたもの―』(2009年)
『原発の謎　―なぜドイツは脱原発、世界は増原発なのか。迷走する日本の―』(2011年)
『どうする日本の女性政策』(2015年)
『敗戦国・日本とドイツ戦後70年でなぜ差がついたのか』(2015年)
『日本人の知らないスパイ活動の全貌』(2018年)

共著

曽野綾子 - 『なぜ日本人は成熟できないのか』（2003年）
曽野綾子 - 『いまを生きる覚悟』（2012年）
曽野綾子 - 『日本人はなぜ成熟できないのか（新版）』（2014年）

TV出演

* 報道ワイド日本 Weekend（毎週金曜日、日本文化チャンネル桜）コーナー『クライン孝子の「言いたい放談」』

クライン孝子は、ドイツと日本という異なる文化の中で生きてきた経験を活かし、独自の視点で社会や文化を考察した作家でした。その著作は、読者に新たな視点を提供し、社会について深く考えるきっかけを与えてくれるでしょう。

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