クライヴ・ベイリー

クライヴ・ベイリーは、イギリス出身のギタリストであり、ボーカリストです。彼は1960年代後半に活動したサイケデリック・ロック・バンド、メイベル・グリアーズ・トイショップのオリジナル・メンバーとして知られています。このバンドは、後にプログレッシブ・ロックの巨人となるイエスの母体となったことで、音楽史において重要な位置を占めています。

メイベル・グリアーズ・トイショップの結成と活動

1966年、クライヴ・ベイリーはロンドンでドラマーのボブ・ハガーと出会い、メイベル・グリアーズ・トイショップを結成しました。彼らは独自の音楽性を追求し、サイケデリック・ロックのシーンで注目を集め始めました。1967年12月には、元ザ・シンのクリス・スクワイア（ベース・ギター）とピーター・バンクス（ギター）が加入し、ツイン・ギター編成となります。この時期、彼らはロンドンの有名なライブハウスであるマーキー・クラブなどに出演し、その演奏は観客を魅了しました。

しかし、ピーター・バンクスが脱退し、ベイリーは再び唯一のギタリストとなります。その後、元ザ・ウォリアーズのジョン・アンダーソン（ボーカル）が加入し、間もなくバンクスも復帰。このメンバー構成で、バンドは更なる音楽性の探求を深めていきました。そして、バンクスの提案により、バンド名を「イエス」と改名することになります。

イエスへの移行とベイリーの貢献

イエス結成時の写真にベイリーの姿がないことから、彼は改名前にメイベル・グリアーズ・トイショップを脱退したと考えられています。しかし、彼の音楽的な貢献はイエスの初期の楽曲にしっかりと刻まれています。

イエスが1969年に発表したデビュー・アルバム『イエス・ファースト・アルバム』には、「ビヨンド・アンド・ビフォア」と「スウィートネス」の2曲が収録されています。これらの楽曲は、ベイリーとクリス・スクワイアの共作であり、特に「ビヨンド・アンド・ビフォア」は、メイベル・グリアーズ・トイショップ時代に制作されたサイケデリックな要素が色濃い楽曲です。実際に、メイベル・グリアーズ・トイショップが演奏した音源も現存しており、ベイリーの初期の音楽性が確認できます。

メイベル・グリアーズ・トイショップの再結成

2014年、クライヴ・ベイリーはボブ・ハガー、ヒューゴ・バーレ、トニー・ケイ、ビリー・シャーウッドといったミュージシャンと結集し、メイベル・グリアーズ・トイショップを再結成しました。そして、2015年と2017年には、メイベル・グリアーズ・トイショップ名義でアルバムを発表し、往年のファンを喜ばせました。

クライヴ・ベイリーは、イエスの黎明期を支えた重要なミュージシャンであり、彼の音楽的な才能は、イエスの初期のサウンドを形成する上で大きな役割を果たしました。メイベル・グリアーズ・トイショップの再結成は、彼の音楽キャリアにおける新たな章を開き、彼の音楽的な遺産を次世代に伝えるものとなっています。

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