クラウディオ・アバド

クラウディオ・アバド：音楽界の巨匠

クラウディオ・アバド（Claudio Abbado）は、1933年6月26日にイタリアのミラノで音楽一家の一員として誕生しました。父親のミケランジェロ・アバドは、名高いヴァイオリン教育者であり、ヴェルディ音楽院の校長を務めていました。彼は19歳の頃に父の友人であるトスカニーニの前で演奏経験を積み、音楽の道を歩むことになります。

指揮者としてのデビュー

アバドはヴェルディ音楽院で学んだ後、1956年にウィーン音楽院で指揮の勉強を始めました。彼は1958年にクーセヴィツキ―国際指揮者コンクールで優勝し、その後も1963年にはミトロープス国際指揮者コンクールでも勝利を収めました。こうした成果を背景に、1959年には正式に指揮者としてデビューし、カラヤンの注目を浴びることとなります。彼はザルツブルク音楽祭にも出演し、名だたるオーケストラとの共演を重ねていきました。

ミラノ・スカラ座での活躍

1968年から1986年まで、アバドはミラノ・スカラ座の指揮者および音楽監督を務めました。彼は従来のイタリア・オペラだけでなく、幅広いレパートリーを通じて質の高い音楽を提供しました。特にスカラ・フィルハーモニー管弦楽団の設立に寄与し、オーケストラのレベルを劇的に向上させました。アバドは自己の音楽的嗜好に基づき、プッチーニなどの作品には手を出さず、むしろロッシーニの再評価に貢献しました。

ロンドンでの成功

1979年からロンドン交響楽団の指揮者として活動し、1983年には音楽監督に就任しました。アバドは楽団との良好な関係を築き、オーケストラの士気を高めることに成功しましたが、契約延長をしない決断を下したことで楽団員たちを失望させました。

ウィーンでの新たな挑戦

1986年にはウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任し、オペラのレパートリーを拡充しました。しかし、1991年に保守的な方向性を持つ新たな総監督の下で彼は辞任することとなります。

ベルリン・フィルへの道

1990年、アバドはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督に任命され、名実共に最高の指揮者としての地位を築きました。彼は2002年まで在任し、数多くの録音を残しました。アバドの初のベルリン・フィルとの来日は1992年であり、ベートーヴェンの交響曲全集やマーラーの作品が特に評価されています。

健康と活動の転機

2000年、アバドは胃癌に罹患しましたが、健康を取り戻した後も新たな挑戦を続けました。ルツェルン祝祭管弦楽団や若手オーケストラと共に活動し、定期的にベルリン・フィルにも客演しました。また、彼は特定のオーケストラとの音楽的意見の不一致から疎遠になりつつありました。

晩年と遺産

アバドは2014年1月20日に80歳で死去しました。彼の音楽的影響は今もなお続いており、特にムソルグスキーや現代音楽への取り組みで高く評価されています。音楽界の巨人として数多くの後進に影響を与えた彼の遺産は、今後も受け継がれていくことでしょう。

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