クラッド鋼

クラッド鋼について

クラッド鋼（クラッドこう、英: clad steels）は、異なる性質を持つ二種類の金属を圧着して作られた鋼材です。別名、圧着鋼とも呼ばれ、その特性からさまざまな産業で利用されています。特に耐摩耗性や耐化学腐食性に優れており、厳しい環境下でも信頼性が高いとされています。

このクラッド鋼は、原子レベルで圧着されており、めっきのように容易に剥がれることがないという点も大きな利点です。これにより、長期間の使用に耐えることができ、コストパフォーマンスも非常に優れています。

製造方法

クラッド鋼の製造にはいくつかの方法があり、以下のような技術が利用されています。

1. 組立圧延法・鋳込圧延法: クラッド材と母材を組み立て、または鋳造して貼り合わせた後、熱間で圧延加工する方法です。
2. 爆発圧着法: 爆薬を使用して爆発的な圧接を行うことで、丈夫な接合を実現します。
3. 肉盛溶接法: 母材にクラッド材を溶接して一体化する方式です。
4. 拡散溶接法: クラッド材と母材を金属の融点未満の温度で接触させて加圧し、金属の拡散現象を利用して接合する方法です。

これらの方法により、特定の使用条件に応じた材料を生産でき、様々な産業需要に応えています。

歴史的な背景

戦前においては、特に軍艦で使用される高圧蒸気機関に不可欠な材料とされていました。戦後もその重要性は変わらず、ステンレス鋼を内張りしたステンレスクラッド鋼は、製油所や石油化学工業、化学プラントでの反応器において広く利用されています。さらに、軽水炉の原子炉圧力容器も低炭素鋼にステンレス鋼が内張りされており、安全なエネルギー生産を支えています。

加えて、復水器においては海水への耐食性を強化するためにチタンクラッド管板が使用されており、原子力発電所や火力発電所などでの重要な材料とされています。

現在の利用

身近な製品としては、家庭用の鍋やIH対応の多層構造の鍋などが挙げられます。これらは比較的安価で手に入れることができ、圧延加工によっても広く生産されています。ただし、圧延加工や肉盛溶接、拡散溶接が難しい材質に関しては、現在でも爆発圧接によって製造されています。

主な製造メーカー

• - 製鋼一貫メーカー

- クラッド厚板: JFEスチール
- クラッド薄板: 日新製鋼、日本製鉄（日本製鉄直江津製造所）

• - 専業メーカー

- クラッド厚板: 日本製鋼所、旭化成（爆発圧接方式）
- クラッド薄板: 特殊金属エクセル、東洋鋼鈑、武生特殊金属（刃物鋼）、アイチテクノメタルフカウミ（刃物鋼）

このように、クラッド鋼はその特性と利便性から、幅広い分野で重宝されています。

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