クラハシコウ

クラハシコウ（鞍嘴鸛）

クラハシコウ（学名：Ephippiorhynchus senegalensis）は、コウノトリ目コウノトリ科に属する鳥類で、サブサハラアフリカに広く生息しています。この鳥は、スーダンやエチオピア、ケニアから南アフリカ共和国にいたるまで、また西アフリカのガンビア、セネガル、コートジボワール、チャドにも分布しており、特に南アフリカでは絶滅危惧種として知られています。また、アジアとオーストラリアに広く見られるセイタカコウの近縁種でもあります。

形態

クラハシコウは大型のコウノトリとして知られ、体高は約145から150cm、体長は142cmに達します。翼を広げると、その幅は2.4から2.7mとなります。特に飼育下では、体高が150から180cmにもなることがあります。オスはメスよりも大型で、体重はオスが平均6.38kg、メスは平均5.95kgです。これはアフリカハゲコウやオオハゲコウとも似たサイズですが、クラハシコウは特に首と脚が長いため、最も背の高いコウノトリとされています。

この種の特徴的な長い脚は、脛足根骨の長さが最大36.5cmあることからもわかります。嘴の長さは27.3から36cmに達し、色彩的には、雄が濃い茶色の虹彩を持ち、メスは金色の虹彩を持っています。また、雄は特徴的な黄色い肉垂を持ち、性的二形性が現れています。羽毛は雌雄で大きな違いは見られませんが、飛翔中の初列風切羽は雌の方がより白く見えます。幼鳥は茶色っぽい灰色の羽毛を持っており、嘴は赤く、黒い帯と黄色の額板を伴っています。

生態

クラハシコウはあまり鳴かず、主に巣の中で嘴を使って音を出すことが多いです。他のコウノトリのように首をたたむのではなく、伸ばした状態で飛ぶのが特徴です。この独特の姿勢により、遠くからでもその存在を把握できます。

生息地

この種は、広い水域がある保護地域を好む傾向があります。他のコウノトリがいない場所に多く見られますが、この点は鳥類学者が調査する保護地域の偏りに影響されている可能性があります。

繁殖

クラハシコウは一対で巣を作ります。繁殖期以外でもつがいでいる姿がよく見られ、一生を通じてつがいを形成することが示唆されています。主に低地の森林湿地や氾濫原で巣を作り、1から5個の白い卵を産卵します。抱卵期間は約30から35日で、雛が巣立つまでにはさらに70から100日かかることが一般的です。

摂餌

クラハシコウは水中で獲物を探し、嘴を使って捕えます。視覚に基づいて狩りを行い、大型の魚やカエル、さらには小型哺乳類や昆虫なども食べます。観察によれば、捕獲成功の71%は視覚によるもので、残りの29%が触覚によるものです。特にアカハシオナガガモを捕食した確認例もあります。

古代エジプトにおいてもクラハシコウは重要な存在であり、ヒエログリフに登場します。この鳥に関連する古代の絵画は、早くも紀元前3150年頃に遡り、都市化や乾燥化の影響でその分布域が減少した可能性が考えられています。

クラハシコウは、その独特の特徴と生態からアフリカの生態系において重要な役割を果たしています。

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