コウノトリ目

コウノトリ目：分類と進化の歴史

コウノトリ目は、かつてはサギ、トキ、ハシビロコウなど、様々な鳥類を含む多様なグループとして分類されていました。しかし、近年の分子系統解析などから、従来のコウノトリ目は単系統群ではないことが明らかになり、分類体系の見直しが行われました。現在では、コウノトリ科のみがコウノトリ目に属し、その他の科はペリカン目などに再分類されています。

伝統的なコウノトリ目の特徴

伝統的な分類におけるコウノトリ目は、長いクチバシ、首、脚を持つ中大型の鳥類です。主に淡水域や海岸に生息し、昆虫、甲殻類、魚などを捕食する動物食性が共通していました。足は3本指が前に、1本指が後ろを向く3前趾足で、水かきは小さく、またはありませんでした。しかし、渉禽類であること以外に共通点は少なく、古くから単系統であることに疑問が呈されていました。

系統的位置

コウノトリ目はペリカン目と近縁であり、現代的な分類では姉妹群として位置付けられています。伝統的な分類では、コウノトリ科に加え、サギ科、トキ科、シュモクドリ科、ハシビロコウ科などもコウノトリ目に含まれていました。特にサギ科は、コウノトリ目の中で最も大きなグループを形成していました。

分類体系の変遷

コウノトリ目に含まれる科の範囲については、長年にわたって様々な議論がありました。SibleyとAhlquistによるDNA-DNA分子交雑法を用いた分類では、コウノトリ目は2亜目30科1022種を含む巨大なグループとして扱われ、鳥類全体の約20%の科と約10%の種を含んでいました。しかし、この分類はUPGMA法を用いた系統樹構築に基づいており、進化速度の不均一性を考慮していないため、多系統群を含む結果となりました。

SibleyとAhlquistの分類では、現在「water birds」と呼ばれる大きな単系統群や、フラミンゴ目とカイツブリ目が含まれていました。これらのグループは、コウノトリ目の内部に散在しており、実際の系統関係を反映していないことが示唆されています。また、タカ目と狭義のコウノトリ目の類似性についても言及があり、骨格や巣作り、幼鳥の形態などから近縁関係が示唆されていましたが、現在の系統解析では大きく離れていることが明らかになっています。

LivezeyとZusiは、形態系統に基づいてコウノトリ目からサギ科とハシビロコウ科を分離し、それぞれサギ目とハシビロコウ目として独立させました。さらに、フラミンゴ科を新たにコウノトリ目へ加える分類も提案されています。

まとめ

コウノトリ目の分類は、長年にわたる研究によって大きく変化してきました。伝統的な分類から近年の分子系統解析に基づく分類へと移行する過程で、コウノトリ目の範囲は劇的に縮小し、系統関係についても新たな知見が得られています。今後もさらなる研究によって、コウノトリ目の進化史や系統関係に関する理解は深まっていくと予想されます。

もう一度検索