クリシュフの戦い

クリシュフの戦い：大北方戦争における戦略と勇気の衝突

クリシュフの戦いは、大北方戦争中の1702年 7月19日（グレゴリオ暦）に、ポーランド＝リトアニア共和国のクリシュフ近郊で発生しました。この戦いは、数に勝るアウグスト2世率いるポーランド＝ザクセン連合軍が、 численно inferior なカール12世率いるスウェーデン軍に打ち負かされるという、戦術と戦略が勝敗を大きく左右する結果となりました。

戦いの背景

1699年、ザクセン選帝侯でありポーランド王・リトアニア大公でもあったアウグスト2世は、デンマーク＝ノルウェー王フレデリク4世、ロシア・ツァーリ国のピョートル1世と共にスウェーデン帝国への攻撃を計画しました。しかし、スウェーデン軍がホムレベクに上陸し、フレデリク4世がトラヴェンタール条約で脱落したことで、この計画は頓挫します。その後、スウェーデン王カール12世はナルヴァの戦いでロシア軍を破り、ドヴィナ川の戦いではアウグスト2世の軍勢をスウェーデン領リヴォニアからポーランド＝リトアニア共和国領内へと追い込みました。1702年5月14日には抵抗を受けることなくワルシャワに入城し、カール12世はさらに西へと進軍しました。

スウェーデン軍とザクセン＝ポーランド＝リトアニア連合軍は、キェルツェの南にあるクリシュフで、約5マイル離れた場所にそれぞれ軍営を設営しました。両軍の間には大きな森と沼地が広がっており、スウェーデン軍は森の北側に、連合軍は北側の狭い沼地と西側のニダ川谷の湿地帯によって守られていました。7月19日の朝9時、カール12世は行軍を開始し、森を抜けて11時には連合軍の北側の沼地のさらに北に到着しました。森を抜けたスウェーデン軍は、歩兵8千、騎兵4千、大砲4門であり、大砲の多くはまだ森を抜けられていませんでした。一方、連合軍はザクセン軍が歩兵7,500と騎兵9千、ポーランド軍が歩兵660と騎兵6,640（うちフサリア1,240人）、そして大砲46門を有していました。

戦闘の経過

スウェーデン軍の右翼はカール・グスタフ・レーンスケルドが指揮し、中央部の第1列はベルンハルト・フォン・リーヴェン、第2列はクヌーズ・ヨーランソン・ポッセが指揮しました。左翼はシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン公フレデリク4世が指揮し、副官はオットー・ヴェーリンクでした。ザクセン軍は左翼をアダム・ハインリヒ・フォン・シュタイナウ、中央部をヨハン・マティアス・フォン・デア・シューレンブルクが指揮し、右翼の騎兵はヤコブ・ハインリヒ・フォン・フレミングが指揮しました。ポーランド騎兵も右翼に位置し、ヒェロニム・アウグスティン・ルボミルスキが指揮を執りました。

カール12世の戦略は、ザクセン＝ポーランド軍を包囲するように進軍し、敵を潰走させること、そして軍を再配置して両翼を強化することでした。スウェーデン軍は14時に攻撃を開始し、ルボミルスキ率いるポーランド軍に突撃しましたが、突撃を率いたフレデリク4世が早々に戦死したため、前進は停滞しました。ポーランド軍は反撃を2回試みましたが、いずれもスウェーデン歩兵に撃退され、フレミング率いるザクセン軍が沼地の向こうから仕掛けた突撃も同様に撃退されました。ルボミルスキとフレミングが撤退したことで、ザクセン軍の中央部と右翼が露呈し、スウェーデン軍の猛攻を受けて壊滅しました。ルボミルスキはスウェーデン騎兵の追撃を受け、キイェまで撤退しました。

その間、ザクセン軍のシュタイナウは、レーンスケルド率いるスウェーデン軍右翼と本隊を分断しようとレーンスケルドに攻撃を仕掛けました。スウェーデン軍の21個騎兵大隊（約2,100人）とザクセン軍の34個騎兵大隊（4,250人以上）の間で激しい戦闘が繰り広げられましたが、最終的にスウェーデン軍がザクセン軍を撃退することに成功しました。

カール12世は16時半にはザクセン軍の軍営まで進軍し、ザクセン軍を周囲の沼地へと追い込みました。さらに、ザクセン軍の大砲を鹵獲し、自軍の戦力として活用しました。

スウェーデン軍はニダ川の橋を占拠し、ザクセン軍を包囲しようと試みました。しかし、ザクセン軍中央部のシューレンブルク将軍率いる騎兵はほとんど損害を受けておらず、シューレンブルクは直ちに反撃を開始し、橋を死守してザクセン軍の撤退を援護しました。17時には戦闘は終結しました。

この戦闘で、スウェーデン軍左翼の指揮官であったシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン公フレデリク4世が砲火に倒れ戦死しました。スウェーデン軍の損害は、戦死者が300人、負傷者が800人に上りました。一方、ザクセン軍とポーランド軍は2千人が戦死し、1,700人が捕虜となりました（うち1,100人は無傷）。

戦いの結果

カール12世はクリシュフの戦いに勝利しましたが、シューレンブルクの奮戦によりザクセン軍は全滅を免れました。スウェーデン軍はザクセン軍の大砲、資金、60本の軍旗、そしてアウグスト2世の軍用行李をすべて奪い、7月31日にはクラクフに入城しました。スウェーデン軍は翌年もポーランドの支配を強化し続けました。アウグスト2世はサンドミェシュへと撤退しました。

クリシュフの戦いは、 численно inferior な軍勢が優れた戦略と兵士の勇気によって勝利を収めることができることを示した戦いとして、歴史にその名を刻んでいます。

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