クリスエス

クリスエス：平凡な現役時代から伝説の種牡馬へ

クリスエス（1977年～2002年）は、アメリカ合衆国の競走馬にして、その名を後世に刻む偉大な種牡馬でした。現役時代は5戦3勝と目覚ましい成績を残したわけではありませんでしたが、種牡馬として開花し、競走界に多大な影響を与えました。その生涯と功績を紐解いていきましょう。

華々しくない現役時代

名種牡馬ロベルトの直仔として、クリスエスは2歳時にカリフォルニアのトレーニングセールに出場。14万ドル（当時約3080万円）の高値で落札され、大きな期待を背負っていました。しかし、競走馬としての活躍は期待を下回り、重賞競走では4着が最高位という平凡な成績に終わりました。唯一の輝きは3歳初戦のブラッドバリーステークスでの勝利です。その後、サンフェリペステークスの直後に屈腱炎を発症し、現役生活に幕を閉じました。

種牡馬としての転身と成功

競走馬としての成績からすれば、種牡馬入りは難しい状況でした。しかし、ロベルト産駒であることと、恵まれた馬格が評価され、クリスエスは種牡馬としての道を歩むことになります。初年度の種付け料は、レース実績の少なさを反映して3500ドル（約84万円）と低額でした。

初期の代表産駒として、1986年生まれのブリーダーズカップ・ターフ優勝馬プライズドが挙げられますが、80年代はそれ以外に目立った活躍馬は現れませんでした。しかし、90年代に入ると状況が一変。クリスエスはクリスキン、キッケンクリスなどの活躍馬を次々と輩出し、1993年には北米リーディングサイアーの栄冠に輝きます。日本ではシンボリクリスエスの父として広く知られており、その名を不動のものにしました。2001年には、種付け料が当時の北米でストームキャットに次ぐ高額な15万ドル（約1800万円）にまで上昇しました。2002年に亡くなるまで、クリスエスは優れた競走馬を輩出し続けました。産駒はダートでも好成績を残す馬もいましたが、特に芝の中距離を得意とする馬が多かったのが特徴です。さらに、その子であるアーチからはBCクラシック優勝馬のBlameが誕生するなど、種牡馬の父としても成功を収めました。

代表的な産駒たち

クリスエスは数多くの優れた競走馬を産み出しました。その中には、日本でも人気の高いシンボリクリスエス（天皇賞（秋）2回、有馬記念2回優勝）も含まれています。以下、代表的な産駒を年代別に挙げます。

1980年代
イヴニングクリス（Evening Kris）
プライズド（Prized）
ストックスアップ (Stocks Up)
シュバルヴォラント（Cheval Volant）

1990年代
ハリウッドワイルドキャット（Hollywood Wildcat）
キッシンクリス（Kissin Kris）
ブロッコ（Brocco）
ユーアンドアイ（You and I）
ソアリングソフトリー（Soaring Softly）
アーチ（Arch）
ドクターフォング（Dr. Fong）
クドス（Kudos）
ウィットモアズコン（Whitmore's Conn）

2000年代
シンボリクリスエス
クリスキン（Kris Kin）
キッケンクリス（Kicken Kris）
ロックハードテン（Rock Hard Ten）
アクションディスデイ（Action This Day）

母父としての活躍

クリスエスは、母父としても多くの活躍馬を輩出しました。その中には、Zenyatta（ゼニヤッタ）のような伝説的な名馬も含まれています。これらの産駒は、クリスエスの血を受け継ぎ、世界中の競馬場でその名を轟かせました。

クリスエスの功績は、現役時代の成績に捉われることなく、種牡馬として類まれな成功を収めた点にあります。その血統は、現在も世界中の競馬界に大きな影響を与え続けています。彼の名は、競馬史に永遠に刻まれることでしょう。

参考文献
『Our Pleasure』 2015年10月号 「ザ・ブラッド 血統表を紐解く!　T.I.S」

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