クリスティアン・マルテル

クリスティアン・マルテル（Christiane Martel）は、1932年1月18日にフランスで生まれたモデル・女優です。出生地はムルト＝エ＝モゼル県のピエンヌとする資料と、ヴァル＝ド＝マルヌ県のクレテイユとする資料がありますが、本項目ではピエンヌとして記述します。また、生年月日についても1936年とする情報も見られますが、AP通信の報道に基づき1932年とします。本名はクリスティアン・マニャーニ（Christiane Magnani）です。

彼女の一家は1940年にヴィエンヌ県のルデュンに移住しました。クリスティアンは若い頃からその美貌で注目を集め、1952年までに「ミス・シャテルロー」「プラス・ベル・イタリアン・ド・フランス」「ミス・シネモンド」など、国内の様々なミスコンテストでタイトルを獲得しました。

1953年初頭、同年のミス・フランスに選ばれていたシルヴィアン・カルパンティエが結婚準備のためミス・ユニバースおよびミス・ワールドへの出場を辞退することを表明しました。これを受け、フランス代表として国際大会へ出場する人物が急遽選ばれることとなり、ミス・シネモンドであったクリスティアン・マニャーニがミス・ユニバース世界大会に、デニス・ペリエがミス・ワールドに出場することになりました。彼女たちは、通常ミス・フランスの優勝者が担う国際大会代表の座を、タイトルを持たないまま務めるという珍しいケースとなりました。この頃から、彼女はクリスティアン・マルテルという芸名を使用するようになります。

1953年7月17日、米国カリフォルニア州ロングビーチで開催された第2回ミス・ユニバース世界大会に出場したクリスティアン・マルテルは、世界各国から集まった美の代表たちの中から見事グランプリに選ばれました。前年の初代ミス・ユニバースであるアルミ・クーセラが任期途中で辞退していたため、この大会では米国の女優ジュリー・アダムスによって戴冠されました。

ミス・ユニバースとしての任期を終えた後、クリスティアン・マルテルは女優の道に進みました。彼女はいくつかの映画作品に出演しており、主な出演作には以下のものが挙げられます。

1954年 『Rails Into』
1954年 『Yankee Pasha』
1954年 『So This Is Paris』
1955年 『Drop the Curtain』
1956年 『Corazón salvaje』
1956年 『Adán y Eva』
1961年 『Juana Gallo』
1961年 『Rosa Blanca』
* 1962年 『Tharus, figlio di Attila』

特に『Yankee Pasha』には、彼女の他にも同年のミス・ユニバース世界大会に出場した各国の代表者たち（マーナ・ハンセン、伊東絹子、エミータ・アロセメーナなど）が出演しています。

女優活動の傍ら、クリスティアン・マルテルはミス・ユニバースとの関わりも持ち続けました。1978年のミス・ユニバース世界大会では審査員を務めたほか、1989年、1993年、そして2007年にはミス・ユニバースに関連するテレビ特別番組に出演するなど、度々その姿を見せています。

私生活では、1955年にデパート経営者のロニー・マレンゴと結婚しましたが、この結婚生活は約70日間と短く、同年中に離婚しています。1961年3月20日、メキシコシティにおいて、弁護士のミゲル・アレマン・ベラスコ氏と再婚しました。ミゲル・アレマン・ベラスコ氏は、第46代メキシコ大統領を務めたミゲル・アレマン氏の息子であり、彼自身も後にベラクルス州知事を務めた著名な政治家です。この結婚により、彼女はクリスティアン・マニャーニ・デ・アレマンとしてメキシコ社会に深く関わることとなりました。

夫アレマン氏との間には、3人の娘と1人の息子を授かりました。息子のミゲル・アレマン・マグナーニ氏は、メキシコの主要メディア企業であるテレビサの出資者であり、また格安航空会社インテルジェットのオーナーとしても知られる実業家です。また、彼女の10人の孫の一人であるカルラ・マウリは、メキシコで活躍する歌手として知られています。

なお、彼女の芸名である「マルテル」は、日本の漫画家・松本零士氏の代表作『銀河鉄道999』のヒロイン「メーテル」と一字違いであることから関連性が囁かれることもありますが、公式に両者の関係を示す資料は確認されていません。

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