クリスマス・プディングの冒険

『クリスマス・プディングの冒険』

アガサ・クリスティの短編集『クリスマス・プディングの冒険』は、1960年に発表された推理小説で、6つの短編が収められています。これらの物語の内、最初の5作はエルキュール・ポワロが主人公で、最後の1つはミス・マープルが活躍します。それぞれの物語には独自のミステリーがあり、クリスティの名探偵たちが様々な事件を解決していく様子が描かれています。

構成

この短編集には完全に新作となる「クリスマス・プディングの冒険」と「グリーンショウ氏の阿房宮」の2つの作品と、再収録作品が含まれています。指定された短編作品は、実際には別の短編集に収められていたものを基にしたリメイクや改編版で、それぞれが巧みに再構成されています。そのため、早川書房のクリスティー文庫版では、重複する作品が排除されています。

各話の概要

1. クリスマス・プディングの冒険

この物語では、ポワロが東洋の王子のルビーを失う事件を解決します。王子がロンドンで不審な女性と浮気をし、貴族たちが集まるクリスマスの集いで事件が発生します。ポワロは、死体の演技をする計画まで巻き込み、最終的に真相を突き止めます。

2. スペイン櫃の秘密

ポワロは、殺人事件と血痕にまつわる謎を解くことになります。犠牲者の友人たちとその妻に絡む複雑な人間関係が明らかになる中で、ポワロは驚くべき真実にたどり着きます。

3. 負け犬

ここで、ポワロは虐待されていた秘書と被害者の家族を巡る事件を追います。様々な登場人物が絡む中で、真犯人がうっかり現場に関連する証拠を残したことをきっかけに、ポワロは事件の真相に迫ります。

4. 二十四羽の黒つぐみ

ポワロは偶然出会った衛兵から、彼が注目する男の不審な習慣について耳にします。その男が行方をくらましたことで、ポワロは水面下で展開される相続争いに巻き込まれます。

5. 夢

この物語は、ポワロが引きこもりの大富豪の自殺を予感させる奇妙な夢を解き明かすことに焦点を当てています。ポワロは夢の内容と実際の事件を結びつけ、背後に隠れた真実を明るみに出します。

6. グリーンショウ氏の阿房宮

ミス・マープルが中心人物となるこの作品では、高齢の女性が遺言を残す過程での謎が展開され、若者との複雑な関係性が浮かび上がります。ミス・マープルは人の心の動きや動機にじっくりと迫ります。

映像化

本短編集に収録されたポワロの物語は、すでに映像化されており、日本でも放送されたことがあります。特に、デヴィッド・スーシェが演じるポワロは高く評価されており、彼の演技は作品の魅力をさらに引き立てました。

『クリスマス・プディングの冒険』は、アガサ・クリスティの作品の中でも特に魅力的な短編集であり、推理小説のファンにとって必読の一冊です。ポワロやマープルの特異な直感により、読者は作品を通じて心躍るミステリーの世界を楽しむことができます。

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