クリント・デンプシー:アメリカサッカー界の英雄
クリント・デンプシー(Clint Dempsey、
1983年3月9日 - )は、
アメリカ合衆国テキサス州出身の元
プロサッカー選手。フォワード、ミッドフィルダーを主戦場とし、アメリカ代表の歴代最多得点記録を
ランドン・ドノバンと分け合う、アメリカサッカー界のレジェンドです。
生い立ちとユース時代
テキサス州ナコドチェスで育ったデンプシーは、幼少期からサッカーに親しむ環境にありました。兄と共にダラス・テキサンズという少年サッカークラブのトライアウトに合格し、才能を開花させます。しかし、1995年に姉を病気で亡くすという悲劇に見舞われました。家族の支えもあり、Dallas Texansでプレーを再開。キャプテン、チーム得点王として活躍し、タンパベイ・サンボウルではMVPに選ばれるなど、その才能を遺憾なく発揮しました。
ファーマン大学に進学後も、62試合中61試合に出場し17ゴールを記録するなど、中心選手として活躍しました。
クラブキャリア
2004年のMLSスーパードラフトで
ニューイングランド・レボリューションに指名されプロデビュー。新人ながら攻撃の中心として活躍し、顎骨骨折による離脱期間がありながらも7ゴールを挙げ、新人王に輝きました。2005年シーズンは10ゴール9アシストを記録、MLSオールスターゲームでは
フラムFC相手に決勝ゴールを挙げる活躍を見せました。また、シカゴ・ファイアー戦でのゴールでチームを
MLSカップに導き、MLSベストイレブンにも選出されました。
2006年末、
フラムFCへ移籍。2007年1月20日のトッテナム・ホットスパー戦で
プレミアリーグデビューを果たします。5月5日の
リヴァプールFC戦では、途中出場から決勝ゴールを決め、チームの残留に大きく貢献しました。
その後も
フラムFCで中心選手として活躍。2008-09シーズンにはチーム最多タイの7得点を記録し、クラブを
UEFAヨーロッパリーグ出場権獲得に導きました。2009-10シーズンの
UEFAヨーロッパリーグでは、
ユヴェントスFC戦でチップキックによる劇的なゴールを決め、チームを準優勝に導く原動力となりました。
2010-11シーズンには、アメリカ人選手として初めて
プレミアリーグで二桁得点を達成。ファン投票によるクラブのシーズンベストプレイヤーに選出されました。2011-12シーズンも好調を維持し、
FAカップでハットトリックを達成するなど、チームを牽引しました。
トッテナム・ホットスパー
2012年8月、
トッテナム・ホットスパーFCへ移籍。
シアトル・サウンダーズ
2013年8月、シアトル・サウンダーズへ移籍。サポーターズ・シールド、
USオープンカップ、
MLSカップを獲得しました。
フラムへの短期レンタル
MLSのオフ期間を利用して、古巣
フラムFCに短期レンタル移籍も経験しました。
2018年8月29日、現役引退を発表。
アメリカ代表
2004年11月、ジャマイカ戦でアメリカ代表デビュー。2005年のイングランドとの親善試合で代表初ゴールを記録。
2006 FIFAワールドカップ、
2010 FIFAワールドカップ、
2014 FIFAワールドカップに出場し、3大会連続ゴールを達成しました。
2007 CONCACAFゴールドカップでは優勝に貢献。
FIFAコンフェデレーションズカップ2009では、3試合連続ゴールを記録し、アメリカ代表の準優勝に大きく貢献しました。
2015 CONCACAFゴールドカップでは得点王に輝きました。
アメリカ代表として141試合に出場し、57得点を記録。
ランドン・ドノバンと並び、アメリカ代表の歴代最多得点記録保持者として、その名を歴史に刻んでいます。
音楽活動
デュース (Deuce) の名で
ヒップホップミュージシャンとしても活動。サッカーのルーツが労働者階級であることと、アメリカ代表のアピールを目的に楽曲を発表するなど、音楽を通じても自己表現を行っています。
獲得タイトル
クラブ
シアトル・サウンダーズ
サポーターズ・シールド:2014
USオープンカップ:2014
MLSカップ:2016
代表
CONCACAFゴールドカップ:2005, 2007, 2017
個人
MLSルーキーオブザイヤー:2004
ホンダ・プレイヤーオブザイヤー:2006, 2011, 2012
USサッカーアスリートオブザイヤー:2007, 2011, 2012
フラム・プレイヤーオブザシーズン:2010-11, 2011-12
コンフェデレーションズカップ・ブロンズボール賞:2009
コンフェデレーションズカップ・ベストイレブン:2009
CONCACAFゴールドカップ得点王:2015
クリント・デンプシーは、その卓越した技術、得点能力、そして何よりもアメリカサッカーへの情熱で、多くのファンを魅了しました。彼の功績は、アメリカサッカーの歴史に永遠に刻まれることでしょう。