クリーピング・デス

メタリカの「クリーピング・デス」（Creeping Death）は、1984年にリリースされた楽曲で、バンドの代表曲の一つとして知られています。この曲は、ジェイムズ・ヘットフィールド、ラーズ・ウルリッヒ、カーク・ハメット、そしてクリフ・バートンの4人のメンバーによって共作され、同年に発表されたスタジオ・アルバム『ライド・ザ・ライトニング』に収録されました。また、シングル・カットもされています。

歌詞は、旧約聖書の「出エジプト記」に登場するモーセを題材としています。クリフ・バートンが映画『十戒』を鑑賞中に、インスピレーションを受けて「クリーピング・デス」という言葉を思いついたとされています。この印象的なタイトルが、楽曲のテーマを象徴するものとなりました。

楽曲のリフは、カーク・ハメットがエクソダスのメンバーであった頃に作った未発表曲「Die by the Sword」が原案となっています。エクソダス時代に生まれたアイデアが、メタリカの楽曲として新たな命を吹き込まれたことは、興味深いエピソードと言えるでしょう。

「クリーピング・デス」は、アルバムのリリースに先駆けて、1983年11月4日からライブで演奏されていました。これは、バンドが新曲をいち早くファンに届けたいという思いの表れであり、ライブパフォーマンスを通じて楽曲を熟成させていった過程を示すものでもあります。

シングルのカップリング曲には、ダイアモンド・ヘッドのカバー「アム・アイ・イーヴィル?」とブリッツクリーグのカバー「ブリッツクリーグ」が収録されました。これらのカバー曲は、メタリカのルーツや音楽的な影響を知る上で重要な要素であり、彼らの音楽性を多角的に捉えることができます。また、これらの楽曲は、1998年にリリースされたアルバム『ガレージ・インク』にも収録されています。さらに、シングル「ジャンプ・イン・ザ・ファイアー」に収録された3曲を追加したEPとしてもリリースされており、多様な形でファンに届けられています。

2013年には、『ギター・ワールド』誌の企画「The 100 Greatest Metallica Songs of All Time」において、「クリーピング・デス」が1位に選ばれました。これは、楽曲の高い完成度と、長年にわたるファンの支持を証明するものであり、メタリカの代表曲としての地位を確固たるものにしました。

「クリーピング・デス」は、他のアーティストにもカバーされています。アポカリプティカは、1996年のアルバム『メタリカ・クラシックス』でこの曲をカバーし、チェロによる独特のアレンジを披露しました。また、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインは、ケラング!誌によるオムニバス・アルバム『Higher Voltage - Another Brief History Of Rock』（2007年）でカバーを提供し、RAZORS EDGEもトリビュート・アルバム『METAL-IKKA〜メタル一家』（2008年）でこの曲をカバーしています。これらのカバーバージョンは、「クリーピング・デス」が様々なジャンルのアーティストに影響を与えていることを示しています。

「クリーピング・デス」は、メタリカの音楽性を象徴する重要な楽曲であり、ライブでの定番曲として、世界中のファンに愛され続けています。

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