クリームはんだ印刷機

クリームはんだ印刷機：プリント基板製造における精密なはんだ塗布技術

プリント基板製造において、電子部品を実装する前に、基板のパッド上に精密にクリームはんだ（ソルダーペースト）を塗布する工程が不可欠です。この工程を担うのが、クリームはんだ印刷機、あるいはより正確にはソルダーペーストプリンターです。

はんだ印刷工程：表面実装の基盤

表面実装技術では、チップマウンターを用いて電子部品を基板に搭載します。しかし、その前に部品実装箇所にはんだペーストを正確に塗布する必要があります。クリームはんだは、はんだの微粉末とフラックスを混ぜ合わせ、ペースト状にしたもの。クリームはんだ印刷機はこのペーストを、基板のパッド上に正確に印刷する装置なのです。かつては日本国内で「クリームはんだ」という表現が一般的でしたが、近年では世界標準の「ソルダーペースト」という名称が広く使われるようになっています。

メタルマスクとスキージ：精密印刷の仕組み

通常、クリームはんだ印刷機はメタルマスクと呼ばれる金属板を使用します。このメタルマスクは、基板のパッドの位置に合わせて穴が開けられており、その穴を通してペーストが基板に塗布されます。マスクの厚さは通常100～300μm程度です。印刷は、スキージと呼ばれるゴムや金属製のブレードを用いて行われます。スキージがメタルマスク上を移動することで、ペーストが均一にパッド上に印刷されます。少量生産の場合、手動でスキージを操作する装置も用いられます。

スキージの種類：特性と使い分け

スキージには様々な種類があり、それぞれに特性があります。主な種類としては以下の3つが挙げられます。

ウレタンスキージ: ウレタンゴム製のスキージは、メタルマスクの寿命を長くできるという利点があります。しかし、マスクの開口部が大きい場合、はんだの転写量が低下する傾向があります。
メタルスキージ: 金属製のスキージは、大開口部でのはんだ転写量に優れています。ただし、メタルマスクの寿命が短くなるという欠点があります。
* プラスチックスキージ: プラスチック製のスキージは、メタルスキージと同等のはんだ転写量を確保しつつ、メタルマスクの寿命も長く保つことができるバランスの取れた選択肢です。

使用するスキージの種類は、生産量、コスト、基板の設計、はんだペーストの種類など、様々な要因を考慮して選択されます。

クリームはんだ印刷機の重要性

クリームはんだ印刷機の精度は、電子部品の実装品質、ひいては製品全体の信頼性に直結します。はんだペーストの塗布量や位置のずれは、はんだ不良やショート、部品の浮きなどの原因となりかねません。そのため、高精度な印刷を実現するクリームはんだ印刷機は、現代の電子機器製造において欠かせない装置となっています。近年では、印刷の精度向上や自動化、省人化に向けた技術開発が盛んに行われています。

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