クルスク市電

クルスク市電の概要

クルスク市電（Курский трамвай）は、ロシア連邦のクルスク市で運行されている路面電車です。1898年に開通し、ロシアでも歴史的な公共交通機関の一つとして認知されています。2021年時点では、トロリーバスと共にクルスク市が所有する企業体「クルスクエレクトロトランス」によって運営されています。

歴史的背景

クルスク市は1890年代に人口が7万人を超え、住民の移動手段として公共交通機関の必要性が高まっていました。その際、クルスク市当局は乗合馬車の導入を検討しましたが、急勾配が多い地形では実現が難しいことが判明しました。そこで、モスクワの技術者I.A.リハチェフが路面電車の導入を提案。1896年にはベルギーから企業を招致し、クルスク市電の運営が開始されました。

工事は1897年までに完了し、最初の路線が開通したのは1898年4月30日（旧暦4月18日）でした。その際、12の電停が設置され、移動時間は約25分でした。その後も路線の延伸計画はありましたが、すべてが実現することはなく、1917年には労働者のストライキが発生し、一時的に国営化が行われました。

20世紀の発展と困難

ソビエト連邦の時代には、クルスク市電の延伸と複線化が進み、1941年には29.5kmの総延長を誇るまでになりました。しかし、第二次世界大戦中にはナチス・ドイツによる占領があり、多くのインフラが破壊されました。戦後は復旧作業が行われ、1948年には戦前の状態に戻りました。

1940年代後半からは新たな路線の建設も進み、1956年には47km、1960年には57.7kmにまで拡張されました。しかし、1970年代以降に老朽化した路線や車両の更新が課題となりました。

現在の状況と運行系統

2021年時点ではクルスク市電は4系統を運行しており、基本運賃は17ルーブルに設定されています。ただし、路線網は縮小傾向にあり、運行における老朽化や維持費用が問題視されています。しかし、クルスク市民の多くは路面電車の廃止を望まず、現状の維持を支持しています。このため、ロシア連邦政府からの資金援助を受けた改修計画も検討されています。

未来の展望

今後、クルスク市電では老朽化した車両の置き換えを進めるため、超低床電車の導入が計画されています。また、具体的には2023年末までに合計22両の新型車両が導入される予定です。過去にはレトロ調の車両が観光用に運行されるなど、地域の文化的な側面も担っています。

さらに、クルスク市電のインフラの更新に向けて、持株会社からの融資を受けた大規模な修繕作業が進行中です。これにより、クルスク市電が地域の交通の中心としての役割を今後も果たすことが期待されます。

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