クルップ

クルップ（Krupp）

概要

クルップはドイツのエッセンを中心とした重工業企業であり、製鉄業や兵器製造で名を馳せてきました。1999年にはティッセン社と合併し、ティッセンクルップという名称が付けられ、巨大な工業コングロマリットとなっています。

クルップの始まり

クルップの歴史は鋼鉄と密接に関連しています。鋼鉄は古くから頑丈な材料として用いられたものの、鍛冶屋が手作業で叩いて作るため、それぞれの製品のサイズや形は限られていました。18世紀末にイギリスで確立された鋳鋼技術が登場するまでは、鋳鉄の製法が主流でしたが、鋳鉄はもろく、実用面での限界がありました。

エッセンの炭鉱町に住むフリードリヒ・クルップは、この鋳鋼の技術を解明することを目指しました。彼は小さな水車小屋を建設し、ここで鋳鋼の製造に挑戦しましたが、彼の人生は困難に満ち、ついには39歳で亡くなります。彼の事業は長男アルフレートに引き継がれました。

アルフレート・クルップの時代

アルフレート・クルップは数年の研究の後、鋳鋼の製造に成功しました。彼はまずは細々と工具や食器の製造を始め、後に貨幣鋳造機や蒸気機関車の車輪に着手。1834年にはドイツ関税同盟が成立し、大量の鉄道用車輪の受注に成功しました。この成功を受けて、クルップ社は蒸気機関を動力源にすることで生産効率を大きく改善します。

鉄道の発展に伴い、クルップは有力な鉄鋼メーカーへと成長し、クルップの社章に描かれた三つの輪は、その基盤となった鉄道車輪を象徴しています。

軍事産業への進出

商業的成功を収める中、アルフレートは武器製造にも目を向け始めます。1843年から大砲をプロイセン陸軍へ売り込み、1851年にはロンドンの万国博覧会で金賞を受賞。これにより、彼は国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世から多くの大砲発注を受けることとなります。

アルフレートは新鋼法を導入し、事業の拡大を図るとともに、軍備強化を進める各国からの注文を幅広く受けるようになりました。また、彼は自らの発言により競争企業に圧力をかけるなど、その影響力を強めていきました。

戦争とクルップ

第一次世界大戦中はドイツ陸軍向けに420mm砲、さらにパリ砲を製作。第二次世界大戦中も、ドイツ国防軍向けの兵器製造に従事し、戦車や砲を供給しました。この時期の製造施設は占領を逃れるため移転を繰り返し、重要な兵器を供給し続けたのです。

戦後と裁判

戦後、グスタフ・クルップ前会長はニュルンベルク裁判において起訴されましたが、高齢のため起訴を取り下げられました。その後、クルップ社の幹部たちが裁かれることとなります。

クルップはその名を今も冠した企業として残り、上智大学内にはクルップ社からの寄付により建てられたクルップ・ホールが存在します。これは、クルップの歴史と影響を物語っているのです。

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