クル族 (リベリア)

クル族の歴史と文化

クル族は、主にリベリア内陸部に居住する民族集団であり、隣国のシエラレオネやコートジボワールにも分布しています。彼らの歴史は、部族としての強い結束と、外部からの支配に対する抵抗の歴史として特徴づけられます。

奴隷貿易時代とクル族

初期の奴隷貿易において、クル族は奴隷狩りに激しく抵抗したことで知られていました。その反抗的な態度は、奴隷商人たちにとって非常に厄介な存在であり、逃亡や自殺を試みる者が多かったため、他のアフリカ人よりも奴隷としての価値が低いとみなされることがありました。

メリーランド共和国との抵抗

19世紀半ば、リベリアの一部が独立国メリーランド共和国として存在していた時代、クル族は貿易を支配しようとする入植者たちに対して様々な形で抵抗を続けました。1856年には、グレボ族と同盟を結び入植者たちに戦いを挑みましたが、リベリアの軍事支援を受けた入植者たちによって鎮圧されました。この抵抗は失敗に終わりましたが、この出来事がきっかけとなり、メリーランド共和国はリベリアに併合されることになりました。

クルメン族との関係

クル族と混同されやすいのが、同じく海岸部に住むグレボ族の一派であるクルメン族です。クルメン族も「クル族」と呼ばれることがありますが、両者は別の集団として区別されます。

リベリアにおけるクル族

クル族は、リベリアにおける主要な民族集団の一つであり、人口の約7%を占めています。クル諸語はリベリアにおいて重要な言語グループであり、社会、政治活動においても、クラーン族、マノ族と並び、重要な役割を果たしています。

クル族の著名人

クル族出身の著名人としては、1990年代に活躍したサッカー選手ジョージ・ウェアや、福音伝道者サミュエル・モリスが挙げられます。また、リベリア共和国のエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領もクル族の血を引いています。さらに、モンロビア市長のメアリ・ブローや、クル族地区の知事であったトーマス・ニメン・ボートーなど、政治や行政の分野で活躍する人物も多くいます。1952年の大統領選挙では、ディドフー・トェがクル族の候補者として出馬し、現職大統領のウィリアム・タブマンと争いました。

まとめ

クル族は、その歴史を通じて強い部族意識を持ち、外部からの支配に抵抗し続けた民族です。奴隷貿易時代における反抗的な姿勢、メリーランド共和国との対立、そして現代リベリアにおける社会、政治への貢献は、彼らの歴史と文化を語る上で重要な要素となっています。クル族の歴史は、リベリアの多様性と複雑さを理解する上で欠かせない要素であり、その文化は今後も継承されていくでしょう。

参考資料

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関連項目

* サラトガ (スループ)

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