クレイジー・キム

クレイジー・キム（CRAZY KIM、1974年 10月4日 - ）は、日本の元プロボクサー。本名は金山俊治（かなやまとしはる）。熊本県荒尾市出身。

元日本スーパーウェルター級王者、元OPBF東洋太平洋スーパーウェルター級王者、元OPBF東洋太平洋ライトヘビー級王者、元OPBF東洋太平洋スーパーミドル級暫定王者、元ABCOスーパーウェルター級王者、初代ABCOスーパーミドル級王者という輝かしい戦績を残し、OPBF王座を3階級、ABCO王座を2階級で制覇した、日本ボクシング史に名を刻む実力者です。

アマチュア時代の礎

クレイジー・キムは、そのプロキャリアに先立ち、アマチュアボクシングで傑出した実績を築きました。

1991年にはインターハイのウェルター級で優勝。
翌1992年には高校選抜でも同階級を制覇。
さらに大学でも王者となるなど、アマチュアエリートとして注目を集めました。

この豊富な経験と実績を背景に、プロデビューは通常より優遇された6回戦からという異例のスタートとなりました。

プロ転向と日本王座への道のり

1997年5月27日、松下文昭戦でプロボクサーとしての一歩を踏み出したクレイジー・キムは、デビューから5連勝を飾ります。

しかし、日本スーパーウェルター級王座への挑戦では苦戦を強いられます。

1999年2月15日、当時の王者である大東旭に挑むも判定負け。
2000年1月15日、河合丈矢との王座戦でも再び判定負け。
2001年2月12日には、吉野弘幸との王座戦でKO負けを喫し、3度続けて日本王座獲得に失敗しました。

不屈の精神で挑戦を続けた彼は、2002年10月10日、石田順裕との日本スーパーウェルター級暫定王座決定戦を制し、4度目の挑戦でついに日本王座（暫定）を獲得。翌年には正規王者にも認定されました。

リングネーム変更と東洋太平洋・ABCO王座獲得

日本王座防衛戦の最中、2004年2月24日からリングネームを本名の金山俊治からクレイジー・キムへと変更します。このリングネームのもと、彼はさらにそのキャリアを飛躍させます。

日本スーパーウェルター級王座は通算6度の防衛に成功し、2006年9月19日に返上しました。
2003年7月15日には、空位となっていたOPBF東洋太平洋スーパーウェルター級王座決定戦を制し、東洋太平洋タイトルを獲得。この王座も3度の防衛を果たしました。
2005年10月20日には、ABCOスーパーウェルター級王座決定戦も制し、OPBFとABCOの同階級タイトルを保持するに至ります。

多階級制覇の偉業

クレイジー・キムの特筆すべき功績は、その多階級制覇にあります。

2007年7月17日、自身より3階級重いOPBF東洋太平洋ライトヘビー級王者のヒース・ステントンに挑戦。階級の壁を越えて判定勝利を収め、東洋太平洋2階級制覇を達成しました。
* 同年11月20日には、OPBF東洋太平洋スーパーミドル級暫定王座決定戦およびABCOスーパーミドル級王座決定戦に勝利し、日本人として初めてOPBF東洋太平洋王座の3階級制覇、そしてABCO王座の2階級制覇という歴史的快挙を成し遂げました。

これにより、彼はOPBFスーパーウェルター級、ライトヘビー級、スーパーミドル級、そしてABCOスーパーウェルター級、スーパーミドル級という、異なる地域の複数階級タイトルを獲得した数少ない日本人ボクサーの一人となりました。

キャリアの終盤と引退

多階級制覇を達成した後も、クレイジー・キムは強豪との対戦を続けます。2008年7月30日には、元WBA世界スーパーミドル級王者アンソニー・ムンディンと対戦し、ダウンを奪う善戦を見せるも判定負けを喫しました。

2008年11月、保持していたABCOスーパーミドル級王座を返上し、同月をもって現役からの引退を表明しました。

戦績と引退後の活動

クレイジー・キムのプロボクシング戦績は33戦28勝（24KO）5敗（2KO）であり、その圧倒的なKO率が彼の攻撃的なスタイルを物語っています。アマチュア時代も94戦79勝（30KO・RSC）15敗という、確かな実力に裏打ちされたものでした。

引退後、彼は故郷である熊本県荒尾市に戻り、2009年10月10日に自身のボクシングスクール「No.1 CHAMPION SCHOOL」を開設。後進の指導にあたっています。

輝かしい戦績と日本人初のOPBF3階級・ABCO2階級制覇という偉業を成し遂げたクレイジー・キムは、日本ボクシング界にその名を深く刻んでいます。

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