クレオパトラ (小惑星)

クレオパトラ (216 Kleopatra) について

クレオパトラは、太陽系の小惑星帯に位置する注目すべき小惑星の一つであり、1880年4月10日にオーストリアの天文学者ヨハン・パリサによって初めて発見されました。その名は古代エジプトの最後の女王であるクレオパトラ7世に由来しています。この小惑星は、特異な形状と構成物質から多くの研究者の関心を集めています。

探査の歴史

クレオパトラの特徴的な点は、その変光周期です。約5.385時間ごとに変光を繰り返し、その明るさの変化の幅は1等星以上に達します。この観測結果から、クレオパトラはとても細長い楕円体の形を持つと考えられ、その軸の比はおおよそ3.4対1.3対1となっています。しかし、この形状が安定して維持されるためには、密度が異常に低くなければなりません。ところが、分光観測から得られたデータは、それが鉄とニッケルを主成分とするM型小惑星であることを示したため、研究者の間ではクレオパトラが二重小惑星である可能性が指摘されました。

1991年1月19日には、クレオパトラによる恒星の掩蔽が観測され、その影が細長い楕円体の形を示したことにより、この形状の存在が裏付けられました。以降も少なくとも7回、この星食が観測されており、最新の観測は2006年に日本の茨城県で行われました。

1999年にはチリのラ・シラに位置するヨーロッパ南天天文台で、3.6メートル望遠鏡を用いて補償光学による観測が実施され、ダンベル型または二重小惑星の形状が確認されました。また、1993年にはハッブル宇宙望遠鏡の観測からも同様の結果が報告されています。

2000年5月には、NASAのスティーヴン・オストロが率いるチームがアレシボ天文台からレーダー信号をクレオパトラに送信し、反射信号を解析したところ、クレオパトラの形状がダンベル型または犬の骨に似た形であることが判明しました。このようなレーダー観測は小惑星帯の小惑星に対しては初めての試みであり、大きな成果を上げました。

このように独特の形状を持つ小惑星は、通常、二つの小惑星が遅い速度で衝突し、破片化することなくくっ付いた結果形成されたと考えられています。また、(4) ベスタのように、核、マントルおよび地殻を持つ小惑星が互いに衝突を繰り返すことで、外層のマントルや地殻が吹き飛ばされ、金属質の中心核だけが残った場合にも見られる現象です。

衛星の発見

クレオパトラに関する発見は、衛星の存在によってさらに興味深いものとなりました。2008年9月19日、マウナケア天文台のケックII望遠鏡により、クレオパトラの周囲に2つの小さな衛星が発見されました。当初はそれぞれS/2008 (216) 1およびS/2008 (216) 2と名付けられましたが、2011年には歴史上の人物にちなんでアレクシヘリオス（Alexhelios）とクレオセレネ（Cleoseleneという名前が与えられました。これにより、クレオパトラは単なる小惑星ではなく、複雑な宇宙環境を持つ天体としての側面も持つことが明らかになりました。

結語

クレオパトラは、発見から現在に至るまで、様々な研究によってその形状や構成が探求されてきました。これらの観測結果は、宇宙の理解を深めるだけでなく、太陽系の形成や進化に関する新たな知見を提供しています。今後もさらなる探査が行われることが期待されています。

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