ヨーロッパ南天天文台

ヨーロッパ南天天文台（ESO）

ヨーロッパ南天天文台（European Southern Observatory、略称：ESO）は、ヨーロッパ14カ国及びブラジルの協力によって設立された天文研究機関です。1964年に設立され、主にチリに位置する観測施設を運営しています。また、その本拠地はドイツのミュンヘン近郊Garchingにあります。ESOは、ラ・シヤ天文台、パラナル天文台、チャナントール天文台の3つの主要な天文台を持ち、南半球における天体観測の発展を目指しています。

設立の背景

大型の観測機器を運用するためには、巨額の財政支援が不可欠です。このため、初期の加盟国として、ベルギー、フランス、西ドイツ（当時）、オランダ、スウェーデンが、この研究機関の設立に向けた条約を結びました。南半球における天体観測が遅れていたことから、銀河系の中心部や伴銀河である大マゼラン雲・小マゼラン雲などを観測するのが難しかったため、その観測を行うための機関として、ESOが設立されました。設立以降、理事会での議決により、参加国の数は徐々に増加し、さらなる観測施設の拡充が図られました。

沿革

• - 1962年: 初期の加盟国間で連合中央天文台に関する覚書が締結される。
• - 1963年: ラ・シヤ天文台の建設が開始される。
• - 1964年: 加盟国間で法的拘束力のあるヨーロッパ南天天文台条約が締結される。
• - 1967年: ラ・シヤ天文台が完成し、デンマークが加盟。以降も加盟国や新規施設の増設が続きました。

運営体制

ESOは、各加盟国が対等な立場で運営に関与しています。各国の中央天文台の役割を担う組織が、資金を提供し、研究者が連携する形で運営されています。このような協力体制によって、南半球における観測活動が強化されています。

主な観測施設

ラ・シヤ天文台

• - 2.2m望遠鏡、3.6m望遠鏡、3.6m新技術望遠鏡などを備えています。

パラナル天文台

• - 8.2mの超大型望遠鏡（Very Large Telescope, VLT）や、2.5mのVLT Survey Telescope、4mのVISTA望遠鏡などがあります。

チャナントール天文台

• - Atacama Pathfinder Experiment (APEX)を含む観測設備があります。さらに、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計（ALMA）を使用した国際的な共同観測も行われています。

次世代プロジェクト

「OWL望遠鏡」に関連するプロジェクトは、現在「European Extremely Large Telescope (E-ELT)」と名を改めて進行中です。このプロジェクトチームは名前を維持しつつ、今後の研究開発に挑んでいます。

主要な発見

ESOでは、様々な天文学的な発見がなされました。2004年には、最も遠い銀河の一つであるAbell 1835 IR1916を発見しました。また、260光年離れた太陽系外惑星2M1207bを2005年に発見し、2010年には初の銀河系外の太陽系外惑星HIP 13044bを確認するなど、数々の成果を上げています。

その他

この機関は、NHKの特別番組「NHKスペシャル・銀河宇宙オデッセイ」にも参加しており、その観測装置が多くの天文学者に利用されています。

外部リンク

• - ESO公式サイト
• - パラナル天文台
• - ラ・シヤ天文台の望遠鏡に関するウェブページ

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