クレオパトラ・セレネ1世

クレオパトラ・セレネ1世の生涯

クレオパトラ・セレネ1世（紀元前115年頃 - 紀元前69年）は、古代エジプトのプトレマイオス朝における重要な王妃です。彼女の父はプトレマイオス8世、母はクレオパトラ3世で、プトレマイオス9世の姉妹であり妻でもありました。また、彼女はベレニケ3世の母でもあります。セレネ1世はその後、セレウコス朝シリアの王たちとも結婚し、波瀾万丈な人生を送りました。

結婚と家庭

彼女の人生は多くの王との結婚を中心に進展します。紀元前115年、彼女の姉妹であるクレオパトラ4世が母のクレオパトラ3世に追放されたことを機に、セレネはプトレマイオス9世と結婚しました。この夫婦の間には、後にエジプトの女王となるベレニケ3世が誕生します。しかし、夫であるプトレマイオス9世は母との権力争いに巻き込まれ、結果として紀元前107年にエジプトから追放され、セレネと離婚することになりました。

政治的同盟

紀元前103年、プトレマイオス9世が再びシリア南部に侵攻する中、彼の摂政である母クレオパトラ3世は対抗策としてシリア王アンティオコス8世グリュポスとの同盟を画策し、セレネを彼の妻にしました。この頃、グリュポスはアンティオコス9世キュジケノスとの内戦に苦しんでいました。紀元前96年にはグリュポスが暗殺され、キュジケノスが彼の後を継ぎます。

その後、キュジケノスは紀元前95年にグリュポスの子であるセレウコス6世を殺害し、セレネと結婚。セレネは次男であるアンティオコス10世エウセベスと後に結婚し、彼らの間にはセレウコス7世やアンティオコス13世という子供が誕生しました（セレウコス7世の存在は謎に包まれています）。

悲劇的な結末

エウセベスは彼の政争で死亡し、その後のセレネの生活は不安定なものでした。紀元前80年には、エジプトでの権力闘争が激化する中、プトレマイオス11世が殺害され、彼女は自らの子供をエジプトの統治者に仕立て上げようとしましたが、結局はプトレマイオス12世が擁立され、彼女の計画は失敗に終わります。

最後に、紀元前69年、セレネはプトレマイスでアルメニア王ティグラネス2世に捕えられ、セレウキアにおいて処刑される運命を辿ります。彼女の生涯は、王族同士の複雑な結びつきと、古代エジプトの政治的混乱を映し出すものでした。クレオパトラ・セレネ1世の物語は、古代の女性が政治的力を持ちつつも、時に悲劇的な運命に翻弄されることもあることを教えてくれます。

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