クレッセンブルンの戦い

クレッセンブルンの戦い（1260年）

クレッセンブルンの戦いは、1260年7月13日に現在のオーストリア・ニーダーエスターライヒ州エンゲルハルトシュテッテンで、ボヘミア王オタカル2世とハンガリー王ベーラ4世の間で行われた戦闘です。

戦いの背景

1246年、バーベンベルク家最後のオーストリア公フリードリヒ2世が戦死し、男系が途絶えました。相続権は姉のマルガレーテにありましたが、1252年にボヘミアの王太子オタカルと結婚したことで、オーストリアはオタカルの支配下に入り、1253年にはオタカル2世としてボヘミア王となりました。

ベーラ4世は、オタカル2世のオーストリア継承に反対し、フリードリヒ2世とマルガレーテの姪ゲルトルートと結婚したロマン・ダヌィーロヴィチを擁立して対抗しました。1254年、ローマ教皇インノケンティウス4世の調停により、ベーラ4世の王太子イシュトヴァーンがシュタイアーマルクを領有することになり、問題は解決に向かうかに見えました。

しかし、シュタイアーマルクの貴族たちがハンガリーの支配に反発し、ボヘミアへの帰属を望むようになると、相続問題が再燃しました。両者はそれぞれの同盟国に支援を求め、武力による決着を図ることになりました。

戦闘の経過

ボヘミア軍にはハンガリー、ポーランド、シュタイアーマルクの軍が合流し、ハンガリー軍はボヘミア、モラヴィア、クマン人、ロシア、ブルガリア、ウクライナなどの軍勢を率いてモラヴァ川で対峙しました。イシュトヴァーン王太子はモラヴァ川を渡って攻撃を仕掛けましたが、エンゲルハルトシュテッテン村でボヘミア軍の反撃を受け敗走し、モラヴァ川で多くのハンガリー兵が溺死しました。

戦争の影響

両軍の動員数と損害については諸説ありますが、オタカル2世はこの戦いでシュタイアーマルクを獲得し、オーストリア全域を支配下に置きました。ベーラ4世はシュタイアーマルクを放棄し、1261年にウィーンで講和条約を結び、孫娘クンフタをオタカル2世の2番目の王妃としました（マルガレーテは同年離婚）。

しかし、ハンガリーとボヘミアの敵対関係は解消されず、その後も緊張状態が続きました。クレッセンブルンの戦いは、その後のオーストリアの歴史に大きな影響を与えた出来事と言えるでしょう。

関連項目

* マルヒフェルトの戦い

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