バーベンベルク家

バーベンベルク家：オーストリアを彩った一族の興亡

バーベンベルク家は、現在の北ボヘミアをルーツとする一族で、976年から1248年までの間、オーストリア辺境伯およびオーストリア公として、この地を支配しました。その歴史は、フランク王国の時代にまで遡り、数々の変遷を経てオーストリアの地に根を下ろしました。

バーベンベルク家の起源

バーベンベルク家の遠祖は、フランス王家カペー家の祖であるロベール家に遡ります。9世紀初頭には、グラープフェルト伯ポッポ1世がヘッセン州とテューリンゲン州の間を支配し、その息子ハインリヒ1世は東フランケン公として勢力を拡大しました。ハインリヒ1世の娘ハトヴィヒは、後のドイツ王ハインリヒ1世の母となり、一族の地位を高めました。

しかし、ハインリヒ1世の息子ポッポ2世は、カロリング朝の東フランク王アルヌルフの支持を得たコンラディン家との対立により、テューリンゲン辺境伯の地位を失い、一族は一時衰退します。その後、ハインリヒ公の息子たちがマイン川上流域のバンベルクに城を築き、これを機にバーベンベルク家と名乗るようになりました。

バーベンベルク抗争

10世紀初頭、バーベンベルク家は、ラーンガウ伯コンラディン家との間で激しい勢力争いを繰り広げました。この一連の抗争は『バーベンベルク抗争』と呼ばれ、フリッツラーの戦いでの敗北により、バーベンベルク家はフランケン地方の支配権を失い、コンラディン家がフランケン公位を獲得しました。

オーストリア辺境伯としての台頭

976年、ドナウガウ伯レオポルト1世（ルイトポルト）は、バイエルンの東側国境付近を獲得し、東方辺境伯（オストマルク辺境伯）に任じられました。これが、後のオーストリア大公領へと発展する基盤となりました。レオポルト1世の出自については諸説ありますが、東フランケン公ハインリヒの子アーダルベルトとする説や、バイエルン公アルヌルフ悪公の孫とする説などがあります。

オーストリアの支配と断絶

レオポルト1世の子孫は、270年間にわたりオーストリアを支配し、その間に勢力を拡大し、文化を育みました。しかし、13世紀半ばにフリードリヒ2世が後継者を残さずに死去したことで、バーベンベルク家の男系は途絶えました。特例として、フリードリヒ2世の姉マルガレーテがオーストリア辺境伯となりましたが、彼女がボヘミア貴族オタカル2世（プシェミスル朝）と結婚したことで、オーストリア辺境伯はプシェミスル朝のものとなり、バーベンベルク家は完全に断絶しました。オタカル2世は後にマルガレーテと離縁しています。

バーベンベルク家の終焉後、オーストリアは一時的に混乱期を迎えますが、後にハプスブルク家が台頭し、オーストリアを支配することになります。バーベンベルク家が築いたオーストリアという国は、ハプスブルク家によってさらに発展を遂げ、ヨーロッパ史における重要な役割を担うことになりました。

バーベンベルク家は、その起源から断絶まで、波瀾万丈の歴史を歩んだ一族でした。その興亡は、中世ヨーロッパの政治情勢と深く結びついており、オーストリアの歴史を語る上で欠かすことのできない存在です。

もう一度検索