クレムリン (漫画)

『クレムリン』とは

『クレムリン』は、漫画家カレー沢薫による日本の漫画作品です。講談社の漫画雑誌『モーニング・ツー』と『モーニング』で連載され、その後、Web連載も展開されました。一見すると普通の猫と人間の日常を描いたコメディ漫画に見えますが、その実態は、シュールで予測不能な展開が満載の異色作です。

連載の経緯

『クレムリン』は、2009年から2012年まで『モーニング・ツー』で、2010年から2013年まで『モーニング』で連載されました。連載終了後も、東京都写真美術館の広報誌『ニァイズ』で出張版が連載され、2013年からはCINRA.NETでWeb連載を開始しています。基本は1話完結型ですが、前話から続くストーリーも存在します。

あらすじ

物語の中心となるのは、道端で捨てられていた高級猫ロシアンブルーの関羽と、彼を拾った青年・却津山春雄の日常です。無口で無表情な却津山と、饒舌で人間くさい関羽の掛け合いが、この作品の大きな魅力です。二人の周囲には、個性的なキャラクターたちが登場し、物語をさらに面白くしています。

主な登場人物

却津山 春雄（きゃっつやま はるお）：
愛称はキャッツ。関羽の飼い主の青年。無口で無表情だが、怒ると表情が豊かになる。
奇妙な行動が多く、常識的な関羽に突っ込まれることが多い。
大学に通っているが、ニート気質で、労働を避ける傾向がある。しかし、大手化粧品メーカーに就職したり、東京都写真美術館の職員として働いたり、掲載誌によって職歴が大きく異なる。
植物を愛し、花屋になるのが夢。
猫耳の帽子を被っているが、猫好きではない。
実は熟女好き。
関羽（かんう）：
ロシアンブルーの猫で、オス。捨て猫だったが、却津山に拾われる。
3匹いるが、全員同じ容姿で名前も関羽。
それぞれ役割分担がある。
猫なのに饒舌で、語尾は「〜だニャ」だが、ツッコミの時は「ニャ」を付けない。
アルバイト経験が豊富で、実質的に却津山を養っている。
却津山に依存している。
猫村 ニャン子（ねこむら にゃんこ）：
却津山の中学時代の同級生。猫好きで、猫耳が生えている。
猫が飼えないため、猫を飼える環境作りのために環境学を専攻している。
世界人口を減らして猫を増やすという危険な思想を持っている。
却津山を「いい人だが、時々何を考えているかわからない」と思っている。
メンチカツ子（メンチカツこ）:
セーラー服姿の女子高生。猫好きで、関羽を誘拐したこともある。
ダメ男好きで、イケメンに興味がない。
ロシアンブルーに執着している。
広 猫志（ひろ ねこし）：
却津山の同級生。猫好きだが、猫にはあまりもてない。
却津山に嫉妬している。
大家さん：
却津山のアパートの大家。年老いた白猫。一代で財を成した成功者。
当初は人語を話さなかったが、関羽に日本語を教わった。
却津山 冬彦（きゃっつやま ふゆひこ）＆猫マウンテン 夏江（ねこマウンテン なつえ）：
却津山の両親。熟年離婚したが、同居している。
却津山 オータム（きゃっつやま オータム）:
却津山の妹。結婚と離婚を繰り返している。
八ヶ岳ビューティーレディース（やつがたけビューティーレディース）:
却津山が狙っている老婆三人組。
イヌー沢（イヌーざわ）：
犬を主人公にした漫画を描く漫画家猫。精神的に追い詰められている。
担当氏（初代）＆エヌネ：
イヌー沢の担当編集者。
ハヤシ沢（はやしざわ）：
エヌネが担当する漫画家。
マンチカン：
足が短い猫。それを気にしている。
手足ナガ子：
マンチカンの彼女。手足が長い。
アイリーン：
フィリピンオウム。却津山の元妻。
スベスベマンジュウガニ：
関羽の元妻。
幸せの青い猫：
青い猫。会社を経営している。
課長補佐：
却津山の上司（猫）。
波本 しずか（なみもと しずか）：
却津山の同僚。不細工で、いじめられている。
アメーバさん：
アメーバ。却津山の同僚。
元公務員（もとこうむいん）：
却津山の同僚。パンストを被った怪しい人物。
ジョブズ山 正義（ジョブズやま まさよし）：
エリート社員。却津山をライバル視している。
ジョブズ山の元妻：
梅宮辰夫似。却津山と仲が良い。
めぐみ：
ジョブズ山の娘。却津山を「ハルオパパ」と呼んでいる。
河村タカシ（かわむら タカシ）：
ジョブズ山の飼い猫。名古屋出身。
ホリエ・ザッカーハンバーグ：
ネコブリッジ大学の学生実業家。カタツムリを親に持つ。
ホリエの母親：
巨大なカタツムリ。
ホリエの子供：
クローン技術で作られた子供。
ホリエの父親：
マタタビ中毒者。ホリエに恨まれている。
選りすぐりのマタ中の皆さん（えりすぐりのマタちゅうのみなさん）：
マタタビ中毒の猫たち。
「猫炎上」の店長（ねこえんじょうのてんちょう）：
猫ホストクラブの店長。
カツ子の元彼：
灰色の少年。

エピソード

テコ入れ企画打ち切り：
モーニングで一時的に作風が変わったが、読者の反応が悪く、打ち切りになった。
モーニング連載終了、再連載：
モーニングでの連載が一度終了したが、アンケートの結果で再連載された。

単行本

モーニング版とモーニングツー版が収録されている。
写美広報誌別冊ニァイズ版は別でコミックス化されている。

アニメ

2012年にYouTubeでFLASHアニメが公開された。
* 各話約2分で、原作をほぼ忠実に再現している。

『クレムリン』は、一見すると日常的な出来事を描いているように見えますが、その実態は、予測不能な展開と個性的なキャラクターたちが織りなす、シュールで奇妙な物語です。猫好きはもちろん、一風変わったコメディを楽しみたい方におすすめの作品です。

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