クレメンス5世 (ローマ教皇)

クレメンス5世の生涯と治世

クレメンス5世（Clemens V）は、1264年に生まれ、1314年4月20日に亡くなったローマ教皇であり、1305年から1314年までの間に教皇の座にありました。彼の治世の特徴は、教皇庁をアヴィニョンに移転させたことで、これによりアヴィニョン捕囚の時代が始まりました。

略歴

クレメンス5世の本名はベルトラン・ド・ゴ（Bertrand de Gouth）で、フランスのアキテーヌ地方に生まれました。彼はボルドー大司教となり、フランス王フィリップ4世（端麗王）と深く関わることになります。フィリップ4世は、フランドル戦争の費用を賄うために教会に対して課税を行い、教皇ボニファティウス8世との関係が緊迫していました。1303年、フィリップ4世は教皇ボニファティウスの捕縛を企て、アナーニ事件が発生します。この事件はフィリップ4世がボニファティウスを捕えようとしたが、失敗に終わったものの、教皇は大きく傷つき、憤死する結果となりました。

その後、1303年10月にベネディクトゥス11世が教皇に就任しますが、彼もわずか8か月後に急死します。空白が続く中、フィリップ4世の圧力が続き、1305年6月にベルトラン・ド・ゴが教皇クレメンス5世として選ばれました。その際、フィリップ4世も立ち会い、南フランスのリヨンで戴冠式が行われました。このように、クレメンス5世の治世はフィリップ4世の影響を色濃く受けたものであり、彼は多くのフランス人枢機卿を任命しました。

教皇庁の移転

クレメンス5世は生涯で一度もローマを訪れることはなく、1308年に教皇庁をフランス南東部のアヴィニョンに移しました。この移転は「アヴィニョン捕囚」として知られ、以降約70年間にわたって教皇庁はアヴィニョンに位置することになります。この期間、教皇権はフランス王の影響下に置かれることとなりました。

テンプル騎士団の解散

フィリップ4世からの要請を受け、クレメンス5世はテンプル騎士団を異端とし、解散させる決定を下しました。1307年10月13日に、テンプル騎士団の総長ジャック・ド・モレーが逮捕され、その後多数の騎士が捕らえられました。これに続いて、異端審問が行われ、騎士団は公式に解散され、彼らの資産はフィリップ4世によって没収されました。1311年にはヴィエンヌ公会議が開催されましたが、ほとんど成果を上げないまま閉会となったのが残念です。

最後の日々

1314年、ジャック・ド・モレーを含むテンプル騎士団の指導者たちは異端として火刑にされました。ド・モレーは死の際にフィリップ4世とクレメンス5世を呪ったと伝えられていますが、興味深いことに、彼らは同年に相次いで亡くなりました。クレメンス5世の遺体は、安置されていた教会が雷による火災に遭い、損傷したとされています。

このように、クレメンス5世はその治世において多くの重要な出来事を引き起こし、教会や政治の歴史に大きな影響を与えた教皇でした。

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