クレルモン伯

クレルモン伯（フランス語: comte de Clermont）は、フランスの歴史に登場する伯爵位の一つです。この称号は、フランス各地に存在する「クレルモン」という地名に由来しますが、特に重要なのは、ピカルディー地方に位置するクレルモンタン＝ボーヴェーズィー（Clermont-en-Beauvaisis）を領地とした伯爵家です。このため、正確には「クレルモンタン＝ボーヴェーズィー伯（comte de Clermont-en-Beauvaisis）」と呼ぶべきでしょう。

歴史

13世紀初頭、フランス王フィリップ2世は、1218年にブロワ伯ティボー6世からクレルモンを買収しました。その後、彼はこの地を自身の3番目の王妃アニェス・ド・メラニーの息子であり、ルイ8世の異母弟であるフィリップ・ユルプルに与えました。フィリップ・ユルプルの死後、この伯爵位は息子と娘に受け継がれましたが、その後継者がいなかったため、一旦は王領に接収されることとなりました。

しかし、その後のフランス王ルイ9世は、この地を自身の息子ロベールに与え、以後、ロベールの子孫であるブルボン家に伝えられました。この時から、クレルモン伯はブルボン家の重要な称号の一つとなり、同家の歴史と深く結びつくことになります。

ブルボン家のクレルモン伯

ブルボン家におけるクレルモン伯は、以下のように受け継がれていきました。

ロベール （1268年 - 1317年）：フランス王ルイ9世の息子で、ブルボン家の祖となった人物です。
ルイ1世 （1317年 - 1327年、1331年 - 1342年）：ロベールの息子。彼は後にブルボン公に叙されました。

その後、クレルモン伯位はブルボン家の歴代のブルボン公やその嗣子によって継承されていきました。この伯爵位は、ブルボン家の権威と歴史を象徴する重要な称号の一つとして、長きにわたりその名をとどろかせました。

備考

興味深い点として、ブルボン朝期には、ブルボン家の支流であるブルボン＝コンデ家のコンデ公ルイ3世の息子、ルイ・ド・ブルボン＝コンデ（1709年 - 1771年）も「クレルモン伯」の称号を有していました。しかし、このルイ・ド・ブルボン＝コンデが名乗っていたクレルモン伯は、ロレーヌ地方のクレルモンタン＝アルゴンヌ（Clermont-en-Argonne）に由来するクレルモンタン＝アルゴンヌ伯（comte de Clermont-en-Argonne）であり、上述のピカルディー地方のクレルモンタン＝ボーヴェーズィーを領地とするクレルモン伯とは異なる称号でした。

このように、フランス史においては、同名の称号が異なる地域や家系に存在することがあり、注意が必要です。クレルモン伯という称号は、その歴史的背景や、ブルボン家との密接な関係を理解する上で、非常に重要な要素の一つと言えるでしょう。

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