クレージーハウス

クレイジーハウスは、通常のチェスに持ち駒のルールを加えた変則チェスの一種です。東欧ではクレイジーチェスとも呼ばれており、2組のチェス盤と駒を使用するバグハウスチェスに似ています。バグハウスチェスが4人で行うのに対し、クレイジーハウスは2人でプレイする点が主な違いです。

クレイジーハウスのルール

基本: 盤面、駒の種類、初期配置、駒の動きは通常のチェスと同じです。
持ち駒: 相手の駒を取ると、その駒を自分の持ち駒として使うことができます。通常、取った駒は色を変えて自分の持ち駒にします。
ポーンの扱い: ポーンが他の駒に昇格した場合、持ち駒になるとポーンの状態に戻ります。
駒の打ち方: 自分の手番では、盤上の自分の駒を動かすか、持ち駒を盤上の空いているマスに打つことができます。
駒の打てる場所: 持ち駒は、盤上の任意の空いているマスに打つことができます。ただし、ポーンは最下段（1段目と8段目）に打つことはできません。
打った駒の扱い: 打った駒は、一度動いたとみなされます。そのため、打ったルークを用いてキャスリングすることはできません。
ポーンの2マス移動: 白の2段目や黒の7段目に打ったポーンは、条件を満たせば2マス進めることも可能です。

将棋との比較

将棋では、持ち駒を打つ際に「二歩」や「打ち歩詰め」といった禁じ手がありますが、クレイジーハウスにはこれらの禁じ手は存在しません。ただし、「ポーンを行き場所のない場所に打つ」という反則は存在します（黒のポーンを1段目に、白のポーンを8段目に打つことはできません）。

棋譜の表記方法

棋譜の付け方は通常のチェスと同様ですが、持ち駒を打つ際には、駒の種類を示す記号の後に「@」を付け、その後に打ったマスの座標を記述します。例えば、ナイトをd5に打った場合は「N@d5」と表記します。

FEN記号

クレイジーハウスには公式なFENの仕様は存在しませんが、オンラインチェスサイトのLichessでは拡張されたFENが用いられています。Lichessでは、駒台の状態をFENの最初の行として追加しており、駒台には8個以上の駒が乗ることがあるため、最終セクションの長さが8文字以上になることがあります。

以下は、LichessでのFENの例です。

`r2qk3/pp2bqR1/2p5/8/3Pn3/3BPpB1/PPPp1PPP/RK1R4/PNNNbpp b - - 89 45`

この例では、「PNNNbpp」が駒台の状態を表しています。

まとめ

クレイジーハウスは、持ち駒ルールによって通常のチェスとは全く異なる戦略性が生まれる、非常に奥深いゲームです。相手の駒を奪って利用するという斬新なアイデアが、ゲームに新たな次元をもたらしています。戦略の幅が広がり、より複雑でエキサイティングな対局が楽しめます。

参考資料

Crazyhouse - Chess Variant Pages
Crazyhouse database
The Chess Variant Pages

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