打ち歩詰め

打ち歩詰めの概念と歴史

打ち歩詰め（うちふづめ）とは、持ち駒の歩を打って相手の玉将を詰みに追い込む行為を指します。この行為は将棋における禁じ手の一つとされており、打ち歩詰めを行った者は反則負けになります。

打ち歩詰めのルール

将棋のプレイ中、歩を打つことで相手の玉を詰ますことは禁じられていますが、盤上の歩を移動させて相手を詰ますこと（突き歩詰め）は許可されています。また、歩を打って王手をかけても、相手の玉がまだ詰んでいない場合には問題ありません。打ち歩詰めとみなされるのは、持ち駒である歩を打った瞬間に相手玉が完全に詰まる場合です。

歴史的背景

打ち歩詰めがさかのぼると、少なくとも1602年までにはその概念が存在していたことが確認されています。初代大橋宗桂の詰将棋作品『象戯造物』に打ち歩詰めを避ける問題が含まれているためです。以降、二世名人である大橋宗古が1636年に発表した『象戯図式』で初めて明文化されました。

打ち歩詰めが禁じ手とされた理由については、「最下級の兵士である歩兵が、王を詰ますことは許されない」といった俗説がありますが、これを裏付ける文献はありません。一方で、戦国時代の文化的な背景や、ゲーム性の維持が影響した可能性も考えられています。

実戦における打ち歩詰め

プロ棋士の対局において、打ち歩詰めを行って反則負けになるシナリオは現在まで発生していませんが、打ち歩詰めに関わる局面はいくつか見られます。

例えば、昭和52年の日本将棋連盟杯戦では、連続王手の千日手となり、実際に反則負けとなった例があります。また、投了時や投了後に相手玉が打ち歩詰めの形になったケースも存在します。さらに、打ち歩詰めを避けるための手順や策略が採用されることもあります。

実戦ではしばしば、打ち歩詰めの危険を回避するために駒の移動や不成が選択されます。特に、プロ棋士たちは打ち歩詰めを回避するための創意工夫を凝らし、プレーすることが求められます。

詰将棋における打ち歩詰め

詰将棋においても、打ち歩詰めは重要なテーマの一つです。多くの詰将棋作品が打ち歩詰めを題材とし、局面を打開する方法や解決策を考察しています。解決法は主に、玉の逃げ道を作ることや、不成による手段、駒の捨て駒を用いる方法などがあります。

例えば、不成を利用した解決法は、歩を打たれないようにするための手作りの形を構築することなどが含まれます。捨て駒を使って、玉将の位置を逃げやすくする手段もよく利用されます。これにより、打ち歩詰めを避けることができます。

その他の情報

打ち歩詰めは二歩と同様に反則と見なされ、打った側はその局面を失いますが、これに対する重大な罰則は通常ありません。オンライン将棋のプラットフォームでは、打ち歩詰めは不正行為として扱われ、アカウントが削除される可能性もあります。

また、双玉詰[[将棋]]においては、攻方の玉に対する打ち歩詰めが一つのテーマになり、特定の解決法が求められます。これらの要素が組み合わさることで、将棋の戦略はさらに奥深いものとなり、プレイヤーたちは常に新たな挑戦を続けています。

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