クレールフォンテーヌ国立研究所

クレールフォンテーヌ国立サッカー養成所：フランスサッカーの至宝を育む場所

クレールフォンテーヌ国立サッカー養成所は、フランスサッカー連盟によって運営される、国内最高峰のサッカーアカデミーです。旧称はフェルナン・サストルにちなんだもので、現在は男子部門がINFクレールフォンテーヌ、女子部門がCNFEクレールフォンテーヌという名称で運営されています。ここでは主に男子サッカー部門について解説します。

概要

広大な敷地面積を誇るクレールフォンテーヌは、フランス国内だけでなく、海外県のグアドループやレユニオンにも拠点を持ち、才能ある若手選手を発掘・育成しています。入学金や授業料は基本的に無償であり、経済的な理由でサッカーを諦めることのないよう、門戸が開かれています。

数多くの名選手を輩出しており、ニコラ・アネルカ、ルイ・サハ、ウィリアム・ギャラス、ティエリ・アンリ、そしてキリアン・エムバペといった、世界を舞台に活躍するスター選手たちが、クレールフォンテーヌでその才能を磨きました。

施設

INFクレールフォンテーヌ本部は、広大な敷地内に6つの天然芝グラウンド、2つの人工芝グラウンド、スタジアム、室内トレーニングジム、医務室、レストラン、テニスコートなどを備えています。また、フランス代表の宿舎である「シャトー」や、養成所生の宿舎も完備されており、選手たちは恵まれた環境の中でサッカーに打ち込むことができます。

フランスの育成区分

フランスでは、育成年代を「サッカースクール」（13歳まで）、「プレフォルマシオン」（13歳から15歳まで）、「フォルマシオン」（16歳から18歳まで）と区分しています。フランスサッカー連盟は、各育成所のプロ入り人数、予算、指導者ライセンス、施設レベルなどを評価し、ランキングを公表しています。

ユース世代の強化

セレクション

INFクレールフォンテーヌ本部のセレクションは、イル＝ド＝フランス地域圏に居住する13歳から15歳までの少年を対象に行われます。競争率は非常に高く、約2000人が参加するセレクションで、合格するのはわずか23人程度です。セレクションでは、足元のテクニック、フィジカル、メンタル、学業面などが評価されます。特に重視されるのは足元のテクニックであり、将来の成長を見据えた上で、敏捷性なども評価されます。また、学業成績や面接も重視され、サッカー以外の能力も評価対象となります。

トレーニング

INFクレールフォンテーヌでは、13歳から15歳までの2年間、無償でトレーニングを受けることができます。生徒たちは、地元の学校に通いながら、午後にINFで練習に励みます。INFの練習では、個人スキルの向上に重点が置かれ、週末には所属チームに戻って試合に出場します。

INFの指導では、思考力を鍛えることが最も重視されます。選手自身に問題の原因を発見させ、解決策を考えさせることで、自立した選手を育成します。また、選手がミスをした際には、頭ごなしに叱るのではなく、対話を通じて改善を促します。

トレーニングでは、「考えること」、「積極的に参加すること」、「継続して努力すること」を意識させ、プロ選手として成長し続けるための基礎を築きます。また、両足でのボールタッチや多様なテクニックの習得など、選択肢を増やすトレーニングも行われます。オフ・ザ・ボールの動きを鍛えることで、味方の選択肢を増やし、チーム全体の攻撃力を向上させることを目指します。

卒業後

INFクレールフォンテーヌは、卒業後のクラブ選びには介入せず、選手本人と家族の判断に委ねます。卒業生の多くはプロクラブの育成所（フォルマシオン）に進み、その中から毎年数名の選手がプロ契約を勝ち取ります。プロになれなかった選手も、下部リーグでサッカーを続けることが多いです。

歴史

1970年代、フランスサッカー連盟は、選手の発掘と育成に力を入れ始めました。1972年には、フランスのプロサッカークラブに優秀な選手を供給することを目的としたINFが設立されました。1988年には、クレールフォンテーヌに国立のフットボールセンターが完成し、INFも同施設に移転しました。

1998年フランスワールドカップ時には、INFの施設がフランス代表の合宿地となり、フランス代表はワールドカップ初優勝を遂げました。この成功により、INFは世界中から注目を集めるようになり、育成システムの模範として各国に影響を与えました。

課題

近年、10代の早い段階で才能を示した選手たちが、高額の移籍金で国外のクラブに移籍し、出場機会に恵まれず、そのまま消えていくケースが増加しています。また、各プロクラブが若手育成に力を入れるようになった結果、INFのセレクションのレベルが低下しているという指摘もあります。

まとめ

クレールフォンテーヌ国立サッカー養成所は、フランスサッカーの未来を担う才能を育む、重要な役割を担っています。数々の名選手を輩出し、フランスサッカーの発展に貢献してきた一方で、近年は課題も抱えています。しかし、その育成システムは常に改善されており、今後もフランスサッカー界を牽引する存在として、その役割を果たしていくことが期待されます。

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