クロアチア人

クロアチア人の概要

クロアチア人、またはHrvatiは、バルカン半島の北西部に広がるクロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナを中心に居住する南スラブ民族です。彼らの言語はクロアチア語であり、主にカトリックを信仰しています。クロアチアのサヴァ川やドラーヴァ川流域、さらに南のダルマチア地方沿岸に存在するコミュニティが特に著名です。1991年には、クロアチア共和国の人口の78%を占める約3,736,000人のクロアチア人が存在しており、ボスニア・ヘルツェゴビナにも約760,000人が居住しています。近年では、アメリカやドイツ、オーストラリアなどにもクロアチア移民が多く見られます。

起源

クロアチア人の起源は非常に多様で複雑です。彼らがバルカン半島に移住する前、現在のクロアチア地域にはギリシャ人やイリュリア人、ケルト系の部族が居住しており、クロアチア人形成の基盤となったとされています。学術的には、クロアチア人は7世紀から8世紀にかけてバルカン半島に移住したとされ、言語学や史料に基づいてスラヴ人との繋がりが指摘されています。

一方、イラン系民族説やゴート族説も存在し、特にサルマート人との関係が注目されています。彼らはコーカサス地方から移住し、スラヴ文化と相互に接触した結果として、今日のクロアチア人が形成されたとも考えられています。その社会においては、ザドゥルカと呼ばれる大家族共同体が重要な役割を果たしていました。

歴史

7世紀から8世紀のクロアチア人の歴史は、文献や考古学の資料の不足から不明瞭な部分が多いですが、彼らは東ローマ帝国およびフランク王国の影響下に置かれ、ダルマチアとスラヴォニアに二つのクロアチア国家を形成しました。トルピミル1世はクロアチア人の指導者として知られ、925年頃にはトミスラヴがクロアチア王として戴冠し、クロアチア王国が成立しました。中世を通じて、クロアチアはカトリックと東方正教会の両方の影響を受けていましたが、カトリック信仰を受け入れたのは9世紀から10世紀にかけてのことです。

16世紀にはオスマン帝国とハンガリーによる二分割が進行し、オスマン軍に対抗するためにハイドゥクと呼ばれる義賊たちが登場しました。この時代のクロアチア人は、強い民族的アイデンティティを育んでいきました。

19世紀のイリュリア運動は、南スラブ民族の統合を目指し、クロアチア民族の意識を高める重要な文化的運動となりました。この運動が後に大クロアチア主義へと発展し、セルビア人との摩擦を生む結果となる部分もあります。特に、中央集権の試みは失敗に終わり、クロアチアにおける民族間の緊張を招きました。後に、クロアチアは歴史的な籍の一部としてアメリカやオーストラリアにも進出し、多くのクロアチア人コミュニティが形成されました。

1991年、クロアチアは独立を達成しましたが、その過程ではボスニア・ヘルツェゴビナとの国境周辺でのセルビア人コミュニティとのそれに伴う衝突が続きました。この結果、クロアチア国内における人口構成が変化し、現在ではクロアチア人の比率が高まっています。

セルビア人との関係

クロアチア人とセルビア人の関係は歴史的に複雑で、民族間の対立が続いています。大クロアチア主義は、クロアチアに住むセルビア人への迫害や対立を引き起こすこともあり、1941年にはナチスの傀儡国家としてクロアチア独立国が成立しましたが、すぐにユーゴスラビアに戻されました。これらの歴史的な出来事は、今日のクロアチアの民族間の関係にも影響を及ぼしています。

地域性

クロアチア人の生活様式や文化は地域によって異なり、スラヴォニア、ザグレブ、ダルマチアの三つの地域に分かれています。スラヴォニア地方では農業が盛んで、山岳地域では移牧が行われ、ダルマチアでは地中海文化と影響を受けた漁業やオリーブ栽培が特徴的です。地域の気質も異なり、ダルマチア人は陽気な性格が多く、スラヴォニア人はより堅実で保守的な傾向にあります。

これらの背景を踏まえ、クロアチア人は独自の文化や伝統を育んできたことが理解できます。

もう一度検索