クロアチア王国 (925年-1102年)

クロアチア王国（Regnum Croatiae）

クロアチア王国（ラテン語: Regnum Croatiae、クロアチア語: Kraljevina Hrvatska, Hrvatsko Kraljevstvo）は、中央ヨーロッパに存在した国家です。およそ2世紀にわたって主権国家として存続し、その領域は現在のクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナの一部に広がっていました。

名称

当初は「クロアチア人の王国（ラテン語: Regnum Croatorum、クロアチア語: Kraljevstvo Hrvata）」が公式名称でしたが、後に「クロアチア王国（Regnum Croatiae; Kraljevina Hrvatska）」として知られるようになります。11世紀には、ダルマチア地方の支配権獲得を機に「クロアチア・ダルマチア王国（ラテン語: Regnum Croatiae et Dalmatiae、クロアチア語: Kraljevina Hrvatska i Dalmacija）」という名称も用いられました。

歴史

建国の背景

7世紀から8世紀にかけて、クロアチア人はバルカン半島に移住し、独自の国家を形成しました。9世紀には、フランク王国と東ローマ帝国の影響を受けつつ、パンノニアとダルマチアに国家が樹立されます。ヴラニミル公の時代にフランク王国から独立を達成し、ローマ教皇から独立国として承認を受けました。

トミスラヴ王の時代

910年頃、ニンのジュパンであったトミスラヴは、周辺勢力との戦いを制し、クロアチア人の国家を統一しました。925年頃には教皇から王の称号を授与され、初代クロアチア王として即位しました。彼の治世下で、クロアチア王国はバルカン半島における有力な勢力へと発展しました。ブルガリア帝国との戦いでは勝利を収め、東ローマ帝国との関係を強化し、ダルマチア地方の支配権を確立しました。

10世紀の変遷

10世紀に入ると、クロアチア社会は大きな変化を経験します。封建制度が導入され、社会構造が変化しました。トミスラヴの後継者たちは王権の維持に努めましたが、内紛や周辺諸国の干渉により、王国は一時的に衰退しました。ミハイロ・クレシミル2世の時代には、国家の秩序が回復し、ダルマチア沿岸都市との関係が強化されました。

11世紀の繁栄と衰退

11世紀、ペタル・クレシミル4世の治世下で、クロアチア王国は最盛期を迎えます。ダルマチア全域の支配権を確立し、行政区画の改革を行いました。しかし、彼の死後、王位継承を巡る争いが勃発し、王国は再び混乱に陥りました。ドミタル・ズヴォニミルの時代には、教皇との関係を強化し、ノルマン王国との連携を図りましたが、彼の死後、トルピミロヴィチ朝は断絶し、クロアチアはハンガリー王国の影響下に入ることになります。

ハンガリーとの同君連合

1102年、ハンガリー王カールマーンがクロアチア王として戴冠され、両国は同君連合を形成しました。この連合関係は、後のクロアチアとハンガリーの関係に大きな影響を与えることになります。クロアチアの貴族は自治権を保持し、独自のバン（太守）を任命しましたが、王位はハンガリー王が兼ねるという体制が確立しました。

まとめ

クロアチア王国は、中世のバルカン半島において重要な役割を果たした国家です。トミスラヴ王による建国から、ハンガリーとの同君連合に至るまで、その歴史は複雑で波乱に満ちています。クロアチア王国は、独自の文化とアイデンティティを育み、現代のクロアチアへと繋がる礎を築きました。

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