クロスタウン・クラシック

クロスタウン・クラシック：シカゴを二分する宿命の対決

クロスタウン・クラシック、別名レッドライン・シリーズ、ウィンディシティ・ショーダウン。これはシカゴ市に本拠地を置く、MLBのシカゴ・カブスとシカゴ・ホワイトソックスによる、リーグを超えたライバル対決の通称です。

カブスはナショナルリーグ中地区、ホワイトソックスはアメリカンリーグ中地区に所属し、それぞれリグレー・フィールド（ノースサイド）とギャランティード・レート・フィールド（サウスサイド）を本拠地としています。「ノースサイダーズ」と「サウスサイダーズ」という言葉は、それぞれのチームとそのファンを指す代名詞であり、両者の間には根強いライバル意識が存在します。

歴史的背景

このライバル関係は、20世紀初頭のアメリカンリーグ創設にまで遡ります。チャールズ・コミスキーがセントポール・セインツをシカゴに移転した際、当時のカブスのオーナーが反発し、訴訟を起こしたという逸話が残っています。最終的に、コミスキーは球団名に「シカゴ」を使用しないこと、そして35番街より南でプレーすることを条件に、シカゴへの移転が認められました。これを受けて、チームは「ホワイトストッキングス」と改名しました。このチーム名は、かつてカブスが使用していた名称でもあります。

アメリカンリーグの人気が高まるにつれ、ナショナルリーグもその存在を認めざるを得なくなりましたが、両リーグのオーナー、選手、ファンの間のライバル関係は依然として根強く残りました。

1906年のワールドシリーズで、両チームは唯一の対決を繰り広げました。レギュラーシーズンで圧倒的な強さを見せたカブスに対し、ホワイトソックスが勝利を収めました。1903年から1942年まで、両チームはポストシーズン・シティ・シリーズで対戦し、ホワイトソックスが大きく勝ち越しました。

1985年からは、毎年恒例のチャリティーゲーム「ウィンディシティ・クラシック」が開催され、1997年のインターリーグ開始以降は、両チームは毎年定期的に対戦しています。これらの試合は、シーズンで最も注目されるゲームの一つとなっています。

ライバル関係を彩るエピソード

2006年5月20日、ホワイトソックス対カブス戦で乱闘事件が発生し、ライバル関係は激化しました。この試合では、本塁でのクロスプレーを巡って両チームの選手が入り乱れ、複数選手が退場処分を受ける事態となりました。

球場の違い

ホワイトソックスは常にシカゴのサウスサイドを本拠地としています。一方、カブスは当初ウェスト・サイド・パークを本拠地としていましたが、1916年にノースサイドのリグレー・フィールドに移転しました。

新しいギャランティード・レート・フィールドは、旧コミスキー・パークに比べて「無菌的」だと評されることもありますが、長年の歴史を持つリグレー・フィールドは、古き良き時代の雰囲気を今に伝えています。元ホワイトソックス監督のオジー・ギーエンがリグレー・フィールドを酷評したことも、両チームの対立を煽る一因となりました。

ファン層の違い

カブスの本拠地周辺のリグリービルは、多くのレストランやバーが立ち並び、試合前後のファンで賑わいます。一方、ホワイトソックスの本拠地周辺のブリッジポート地区は、より労働者階級的な雰囲気が特徴です。

メディア報道

かつて、両チームの試合中継は、それぞれのホームゲームをそれぞれの解説チームが担当する「スイッチオフ」形式で行われていました。しかし、2005年以降は、両局がそれぞれの解説クルーとともに同時に試合を放映するようになり、視聴者は偏りのない解説でゲームを楽しめるようになりました。

長い低迷と「呪い」

カブスとホワイトソックスは、ともに長い間優勝から遠ざかっていました。カブスは「山羊の呪い」、ホワイトソックスは「ブラックソックス事件」という不幸な出来事が、それぞれのチームの不運の始まりだとされています。

まとめ

クロスタウン・クラシックは、単なる野球の試合にとどまらず、シカゴという都市の文化、歴史、そして人々の感情が交錯する特別なイベントです。両チームのファンは、互いにライバル心を燃やしながらも、同じ街を愛する者同士として、この対決を盛り上げています。

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