クロスネット局

クロスネット局について

クロスネット局とは、日本において民間の地上波放送局が、異なるネットワークに同時に加盟する放送局を指します。このような局は、特にラジオの中波放送（AM）において多く見られますが、テレビジョン放送においては、近年のネットワークの進化に伴い、徐々に数が減少している傾向にあります。以下では、クロスネット局の歴史や現状について詳しく説明します。

テレビジョン放送におけるクロスネット局の歴史

1950年代末から60年代初頭、日本の民放テレビ局はより多くのネットワークと提携し、さまざまな番組を選択する「オープン・ネット」の状態でした。この時代、キー局や準キー局による番組供給がある一方で、特定の系列に所属するかどうかは地域によって異なり、電電公社のネットワーク回線の影響を受けていました。地域の放送局が他のネットワークに参加したり、クロスネットを展開するケースが増えました。特に、ジャパン・ニュース・ネットワーク（JNN）や日本ニュースネットワーク（NNN）などのニュースネットワークの設立が影響し、放送局の編成形態が進化しました。

1960年代末、地方のUHF波による民放第2局の開局を背景に、クロスネットとして運営される放送局は一層増えました。しかし1980年代に入ると、全国四波化の進展により新たな局が次々と開局され、既存のクロスネット局がそのネットワークを解消する事例が増加しました。この変化により、一部の人気番組が新たに開局した系列局に移行せず、従来の局で放送されることも多くなりました。

ラジオ放送におけるクロスネット局

ラジオ放送では、特に中波放送においてクロスネット局が多く存在します。最初のラジネットワークであるJapan Radio Network（JRN）は、1965年にTBSが設立したもので、以後文化放送とニッポン放送が対抗してNRNを立ち上げ、ラジオ放送におけるネットワーク競争が始まりました。それぞれのネットワークの理念に基づく違いが存在し、特にクロスネットでは、全国各地で独自の編成を行うことが可能でした。これにより、多くの局がJRNとNRNの両方に加盟し、効果的な番組供給を実現しています。

クロスネット局の事例

例えば、福島テレビやテレビ山口のクロスネット状態には興味深い事例があります。福島テレビは1983年から1983年9月30日まで、JNNからFNNに加盟した際に、JNNの報道番組をそのままに、FNNの一部番組を同時ネットしていました。一方、テレビ山口では1987年にJNNフルネット局としてJNNの番組編成を始めつつ、FNN系列の一部番組も同時ネットするパターンが見られました。このような複雑な運営形態は、視聴者ニーズに応えつつ、各地区での放送環境を整える試みでもあります。

長時間にわたる特別番組の放送に関しても、クロスネット局は特異な状況が見られることがあります。例えば、性格の異なる番組を組み合わせる形で放送されることも多く、地域によるネットワークの選択肢の幅を広げています。

まとめ

クロスネット局は、日本の放送内容の多様性を生み出す一因として重要な役割を果たしています。地方局が異なる系列との連携を持つことで、視聴者はさまざまなプログラムを享受でき、その結果、地域ごとの文化やニーズに適応した放送が実現されています。今後、メディア環境の変化に伴い、クロスネット局のあり方も進化していくことでしょう。

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