クロス新宿ビジョン

新宿の新名所：クロス新宿ビジョンの魅力

新宿駅東口に突如として現れた巨大な三毛猫「新宿東口の猫」。その姿を映し出すクロス新宿ビジョンは、今や新宿の新名所として、国内外から注目を集めています。本記事では、この街頭ビジョンの立地、技術、映像制作の裏側、そして文化的影響までを詳細に解説します。

立地と構造

クロス新宿ビジョンは、新宿駅東口北側の駅前広場に面した「クロス新宿ビル」の4階に設置されています。特徴的なのは、その湾曲した形状。新宿通り側の間口が狭く、モア2番街に沿って奥行きが長いビルの形状に合わせて、画面が湾曲しています。この湾曲した画面が、映像を立体的に見せる効果を生み出しています。

最適な視聴位置は、スクランブル交差点を挟んだ向かい側。JR新宿駅東口から西武新宿駅方面への歩行者動線上に位置し、多くの人が足を止めて映像に見入っています。運営会社は、周辺歩行者を平日19万人、休日は23万人と見込んでおり、その集客力の高さが伺えます。

技術

このビジョンの最大の特徴は、湾曲ディスプレイによる立体的な映像表現です。映像は、湾曲ディスプレイに合わせて変形させて作成されており、交差点の向かい側にいる視聴者に対して、猫が本当にそこにいるかのような錯覚を与えます。特に、猫が天井と床、奥の壁に囲まれた空間から、体の一部をはみ出させて映し出すことで、より一層の立体感を生み出しています。

LEDディスプレイはヒビノが担当。世界的に湾曲またはL字型の街頭ビジョンを活用した立体視の潮流に着目し、より魅力的な映像を映し出すことを目標に開発されました。当初は目視を想定して作成されたため、スマートフォンでの撮影では綺麗に写らないという課題がありましたが、リフレッシュシートの数値を調整することで改善されました。

さらに、クロス新宿ビルとモア2番街を挟んだビル屋上には固定カメラとVRカメラが設置されており、ビジョンの映像と猫の視点からの映像がYouTubeでライブ配信されています。

映像制作の裏側

三毛猫の映像制作には、猫好きのスタッフが集結し、猫の習性や行動を徹底的に研究。映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』でCGスーパーバイザーを務めた青山寛和氏を中心としたチームが担当し、同映画で化け猫のキャラクターを制作したオムニバス・ジャパンが全面サポートしました。音楽制作は、保護猫の活動も行うIntercity-Expressが担当。約5ヶ月の期間をかけて、細部にまでこだわった映像が制作されました。

文化的な影響

体長10mを超える巨大な猫の出現は、日本国内だけでなく海外でも大きな話題となりました。ロイターやCNNなどの主要メディアが報道し、アメリカABCテレビでは「Catzilla（キャジラ）」という愛称で呼ばれるなど、世界中で親しまれています。

キャラクターに三毛猫が選ばれたのは、渋谷のハチ公、池袋のいけふくろうのように、新宿をイメージする動物がいなかったことが理由の一つです。老若男女から愛される猫であり、かつ新宿に多い外国人観光客に和を感じさせる毛色として、三毛猫が選ばれました。

『新宿東口の猫』は、第25回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門ソーシャル・インパクト賞を受賞し、その文化的価値が認められました。

クロス新宿ビジョンは、単なる広告媒体としてだけでなく、新宿の新たなシンボルとして、そして世界中の人々を魅了する存在として、今後ますますその存在感を高めていくことでしょう。

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