クロハサミアジサシ

クロハサミアジサシ（学名：Rynchops niger）は、チドリ目ハサミアジサシ科に分類される鳥類の一種です。その名の通り、特徴的なのは上下の嘴の形状で、下嘴が長く伸びています。

分布

この鳥は、南北アメリカ大陸に広く分布しています。具体的には、アメリカ合衆国の東部大西洋岸（ニュージャージー州付近）からメキシコ湾沿岸、中央アメリカを経て、南アメリカの南部（チリ南部やアルゼンチン中部）にまで生息しています。この広範囲な分布は、クロハサミアジサシが様々な環境に適応できる能力を示しています。

生態

クロハサミアジサシは、主に大きな河川の中流から下流にかけての土手や河原で繁殖します。彼らは中規模のコロニーを形成し、しばしば他のアジサシ類と混合したコロニーを作ることもあります。繁殖期には、1腹あたり3個から7個の卵を産み、抱卵期間は約21日から23日です。興味深いことに、抱卵は雌のみが行います。

摂食

クロハサミアジサシの最も特徴的な行動の一つが、その独特な捕食方法です。彼らは水面近くを低空飛行し、下嘴を水面につけたまま飛びます。そして、水面にいる小魚、昆虫、甲殻類、軟体動物などを、この下嘴で引っ掛けるようにして捕食します。この方法は、他の鳥類ではあまり見られない独特な狩りのスタイルであり、クロハサミアジサシを特徴づける重要な生態的特徴です。

この鳥の姿は、水辺で低空飛行をしながら餌を探す様子がよく見られ、その姿は観察者にとって印象的です。繁殖期には、コロニーを形成し、にぎやかな鳴き声が水辺に響き渡ります。クロハサミアジサシは、その独特な生態と分布域から、生態学的な研究の対象としても注目されています。

ギャラリー

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参考文献

* マイケル・ウォルターズ著、山岸哲監修、『世界「鳥の卵」図鑑』、新樹社、2006年、117頁

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