クロルフェニラミンについて
クロルフェニラミン(英: chlorpheniramine)は、第一世代のヒスタミン
受容体拮抗薬に分類されるアルキルアミン系の薬剤です。この薬剤は主にH1
受容体に対して競合的に作用し、
炎症や気道分泌を抑える効果があります。鎮静作用は他の第一世代
抗ヒスタミン薬に比べると軽度ですが、使用する際はその特性を理解することが重要です。
薬剤の特徴と関連薬剤
クロルフェニラミンは、フェニラミン系薬剤に属し、同系統にある他の薬剤には、フェニラミンやフルオロフェニラミン、d-クロルフェニラミンなどがあります。これらは全て光学活性中心を持つため、異性体に分かれます。クロルフェニラミンは
ラセミ体として存在し、d-クロルフェニラミンは右旋性の
立体異性体として分離可能です。
生理学的には、クロルフェニラミンはヒスタミンH1
受容体を阻害するだけでなく、セロトニン再取り込み阻害薬(SRI)としての効果も報告されています。しかし、SRIとしての臨床的な効果に関してはまだ確証が少ない状況です。
実験的な示唆
実験では、フィッシャー344ラットやBrown Norwayラットを用いた研究が行われ、脳室内に投与されたクロルフェニラミンが恐怖関連行動を軽減し、迷路実験において成績の向上を示しました。さらに、長期間に渡る投与は加齢による運動機能の低下を抑える可能性も示唆されています。
他の薬剤との併用
アレルギー治療において、クロルフェニラミンは抗ヒスタミン作用に加えて充血除去作用も持つフェニルプロパノールアミンと併用されることが多くなっています。しかし、アメリカでは若い女性において脳卒中のリスクを増加させるとの研究結果が出たことから、その使用が制限されています。クロルフェニラミン単体には同様のリスクは報告されていません。
また、クロルフェニラミンとヒドロコドンを併用した合剤がアメリカで承認されており、成人および6歳以上の小児の咳や
アレルギー症状に対する治療に使用されています。この合剤の効果は通常12時間持続し、一般的な麻薬性鎮咳薬よりも効果時間が延長されています。
副作用の注意点
副作用としては、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩に関連する重大な反応には、ショックや痙攣、錯乱などが挙げられます。その他、多くの副作用が5%以上で見られ、眠気やめまい、口渇、便秘なども含まれます。したがって、使用にあたっては適切な確認と注意が必要です。
商品情報
日本においては、クロルフェニラミンマレイン酸塩が第一選択の抗ヒスタミン剤として承認されています。IUPAC名は「N-[(RS)-3-(4-Chlorophenyl)-3-pyridine-2-ylpropyl]-N,N-dimethylamine monomaleate」で、主に白色の結晶として存在します。その水溶性が高いことから、さまざまな製剤が市場に出回っています。
徐放剤としてのクロルフェニラミンは、主に感冒に伴う諸症状の治療や
アレルギー性鼻炎、湿疹などに用いられています。一般的な用法では成人において1回6mgを1日2回服用しますが、年齢や症状に応じて調整が必要です。
まとめ
クロルフェニラミンは抗ヒスタミン作用を持つ薬剤であり、その効果と副作用に注意しながら使用されるべきです。特に他の薬剤との併用や、進行中の疾患への影響については事前に専門的な確認が求められます。