クローズドソース

クローズドソースソフトウェア：その本質と課題

ソフトウェアの世界には、そのソースコードへのアクセス方法によって大きく二つのカテゴリーが存在します。一つは自由にアクセス、改変、再配布が可能なオープンソースソフトウェア、そしてもう一つがクローズドソースソフトウェアです。本稿では、クローズドソースソフトウェアの定義、その曖昧性、そして関連するライセンスについて詳細に解説します。

クローズドソースとは何か？

クローズドソースとは、一般的にソースコードが公開されず、バイナリファイル（実行ファイル）のみが配布されるソフトウェアを指します。ユーザーはソフトウェアを実行することはできますが、その内部構造や動作原理を直接確認したり、修正したりすることはできません。これは、ソフトウェア開発元の知的財産権保護という観点から、しばしば企業秘密として扱われるためです。

しかし、この定義は必ずしも明確ではありません。場合によっては、秘密保持契約を締結した特定の企業や個人にソースコードへのアクセスが許されることもあります。この点において、クローズドソースという用語の解釈には曖昧性があると言えるでしょう。

名称の曖昧性：オープンソースとの対比

「クローズドソース」は、しばしば「オープンソース」の対義語として用いられます。しかし、この対比には微妙なずれが存在します。例えば、マイクロソフトの「シェアードソース」は、ソースコードへのアクセスを許可するものの、オープンソースライセンスの下で配布されるわけではありません。

「クローズドソース」を「オープンソースの定義を満たさないソフトウェア」と解釈するならば、シェアードソースはクローズドソースに含まれます。しかし、「ソースコードにアクセスできないソフトウェア」と解釈するならば、シェアードソースはクローズドソースには含まれません。このように、定義の解釈によって、クローズドソースの範囲が変化してしまうのです。

ソースコードライセンス：守秘義務と権利

ソースコードの利用に制限を加えるライセンス体系を、ここでは「ソースコードライセンス」と呼びます。これは、プロプライエタリソフトウェア（専有ソフトウェア）の開発を支援する仕組みであり、オープンソースの要件を満たしません。

ソースコードライセンスは、特定の状況下で用いられます。例えば、カーネルやミドルウェアといったソフトウェアをユーザーが設計したプラットフォームに移植する場合（ポートライセンス）、あるいは、高度な安定性が求められるシステムにおいて、ユーザーによる詳細な検証が必要となる場合などです。

このようなライセンスでは、ユーザーはソースコードの改変や再配布に制限を受け、しばしば守秘義務を負うことになります。また、ユーザーが作成したバイナリコードの配布には、ロイヤリティ（使用料）が課されることも一般的です。

さらに、ソースコードライセンスには潜在的な問題も存在します。不正な取り扱いによる競合他社への流出、GPL汚染（GPLライセンスと互換性のないコードの混在による問題）、顧客が改変したコードの帰属権に関する紛争、バージョン管理コストの増大などが、考えられる課題です。

まとめ

クローズドソースソフトウェアは、その定義に曖昧性があり、オープンソースとの明確な区別が難しい場合があります。ソースコードライセンスは、ソフトウェア開発元の知的財産権保護に役立ちますが、同時に法的、技術的な課題も孕んでいるため、利用にあたっては慎重な検討が必要です。ソフトウェア開発や利用の際には、ライセンス条項を十分に理解し、適切な対応を行うことが重要です。

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