クローラークレーン

クローラークレーンについて

クローラークレーンは、自走式の移動式クレーンの一種で、履帯を使って不特定の場所に自ら移動できる特長を持っています。このクレーンは、ゴムタイヤや鉄輪に比べて接地面積が広く、接地圧が小さいため、柔らかい地盤や舗装されていない地面でも安定して作業が行えます。ただし、走行速度が低く、小型モデルでも自動車として登録ができないため、公道を自走することはできません。そのため、現場間の移動はジブ部分を解体し、トラックやトレーラーに積載して運搬する必要があります。

クローラークレーンの種類

小型クローラークレーン

定格荷重が1トン以上5トン未満の小型移動式クレーンを運転するには、移動式クレーン運転士免許または小型移動式クレーン運転技能講習終了証が必要です。この小型クレーンは「ミニクローラークレーン」とも呼ばれ、特に定格荷重が3トン未満のモデルはカニクレーンまたはクモクレーンとして知られています。これは、4本のアウトリガーで支える姿がカニやクモに似ているためです。多くの小型クレーンクは油圧伸縮式のブームを装備しており、特に定格荷重が約2.9トンから4.9トンの機種は、ショベル系機体を用いた乗用型です。また、定格荷重が2.9トン以下の機体では運転席を備えず、床上からレバーで操作する「カニクレーン」が主流です。メーカーとしては、古河ユニックや前田製作所が知られており、狭い道路での工事や石材・造園工事で多く使用されています。

大型クローラークレーン

定格荷重が5トン以上の大型移動式クレーンを運転するには、移動式クレーン運転士免許が必要です。この大型クレーンは、吊上荷重が5トン以上のものを指します。日本国内では、吊上荷重が7トンから3,000トンに及ぶ機種が実用化されています。吊上荷重が35トン以下の機種では、ジブを取り外すことでトレーラーへの積載が可能ですが、それを超えると上部旋回体と下部フレームを分解しなければなりません。また、大型クレーンの多くはラチスジブ（トラス構造のジブ）を採用しており、カウンターウェイトの調整が必要です。全体的に、都市での工事にはコンパクトさが求められ、作業用地が限られる中、大型クレーンはその占有面積を最小限に抑える設計が求められています。

超大型クローラークレーン

超大型クローラークレーンは、その吊上げ能力とともに、組立・分解性、輸送性の良さも求められます。特に日本では道路の制約によって、ユニットごとの重量やサイズが制限されています。そのため、より経済的で汎用性の高い輸送方法が模索されています。例えば「ネスティングブーム」と呼ばれる、主ブーム内に小さなジブを収納する入れ子構造が採用されることで、輸送コストや保管スペースを削減することができています。超大型モデルは、内蔵されたカウンターウェイト台車を使った設計が見られ、安定性を高めています。

安全性と主要メーカー

クローラークレーンは、過載防止装置や巻過防止装置などの安全装置を備え、特に大型・超大型モデルでは慎重な操作が求められます。日本国内の主要メーカーには、コベルコ建機、住友重機械建機クレーン、コマツ、加藤製作所などがあり、国外からはリープヘル、TEREX-DEMAGなどが日本市場に提供しています。

結論

クローラークレーンは、土地の条件や使用目的に応じて多彩に対応できる移動式クレーンであり、建設現場や工事に欠かせない存在です。今後もその技術やデザインが進化し続けることでしょう。

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