クローン・ヴェノスタ

クローン・ヴェノスタ（Curon Venosta / Graun im Vinschgau）

クローン・ヴェノスタは、イタリア共和国トレンティーノ＝アルト・アディジェ州ボルツァーノ自治県に位置するコムーネ（基礎自治体）です。人口は約2,400人。ヴァル・ヴェノスタ（ヴィンシュガウ谷）の奥に位置し、北はオーストリア、西はスイスと国境を接する山間の村です。オーストリアとの間には、レッシェン峠（レージア峠）が通っています。

地理

ボルツァーノ自治県の西部に位置し、周囲を雄大なアルプスの山々に囲まれています。特筆すべきは、町域に広がるレージア湖でしょう。この湖は水力発電のために谷を堰き止めて作られた人造湖で、湖面から顔を出す鐘楼が印象的な景観を作り出しています。

隣接するコムーネ

北: Nauders (オーストリア・チロル州)
北東: Pfunds (オーストリア・チロル州), Kaunertal (オーストリア・チロル州)
東: ゼルデン (オーストリア・チロル州)
南: マッレス・ヴェノスタ
西: シュクオル (スイス・グラウビュンデン州)
北西: Valsot (スイス・グラウビュンデン州)

歴史

この地の歴史は古く、紀元前15年にはケルト人が暮らしていました。その後、ローマ帝国に組み込まれ、レージア峠を越えるクラウディア・アウグスタ街道が建設されました。この街道は中世にも重要な役割を果たし、「上の道」や「スワビア街道」と呼ばれていました。キリスト教化は5世紀に行われましたが、14世紀には黒死病の大流行により人口が激減し、ドイツ語を話す人々が移り住みました。

レージア湖と鐘楼

クローン・ヴェノスタの最も有名なランドマークは、レージア湖に水没した鐘楼です。1950年7月、水力発電のためにダム湖が拡張された際、もともとあったクローンの集落は水没しました。現在の集落は、その湖畔に新たに建設されたものです。湖面から顔を出す鐘楼は、コムーネの紋章にも描かれており、クローン・ヴェノスタのシンボルとして親しまれています。夏には湖でボートやカイトサーフィンを楽しむことができ、冬には凍った湖の上を歩くこともできます。

住民

言語はドイツ語が主流で、2011年の調査では住民の約97%がドイツ語話者です。イタリア語やラディン語を話す住民も少数います。

観光

クローン・ヴェノスタは、その独特な景観と豊かな自然から、多くの観光客を魅了しています。特に、レージア湖と鐘楼は必見のスポットです。また、周辺にはハイキングコースやスキー場などがあり、アウトドアアクティビティも楽しめます。レッシェン峠を越えてオーストリアへ、またはスイスへのアクセスも容易です。歴史、文化、自然が調和したクローン・ヴェノスタで、心安らぐひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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