クーシャンクー

クーシャンクーの概要

クーシャンクー（公相君）は、沖縄空手の中で重要な型の一つで、特に松濤館流派においては「観空大」として知られています。元々は「公相君」と呼ばれていましたが、観空大という名称に改められました。この型は、日本の空手だけでなく、韓国の唐手道（Tang Soo Do）でも用いられており、広い範囲でその技術が伝承されています。

名前の由来

「クーシャンクー」という名前は、福建省の言葉で「拳聖君」と解釈されることが一般的です。この型の名称は、1700年代に沖縄を訪れた福建出身の外交官、公相君に由来するという説がありますが、公という姓は中国の名前としては非常に珍しいため、その信憑性には疑問が持たれています。

技術的特徴

クーシャンクーは、その流麗な動きと多様な技術を特徴としています。この型では、白鶴拳に似た柔軟な動作や、開脚技が重要視されます。松濤館流では、特に「欺瞞」という技が知られており、一方の足を低く構えつつ、もう片方の足をつま先立ちにすることで相手の攻撃の隙を作ります。この型の高い複雑性から、クーシャンクーは松濤館における最高位の型と見なされています。

また、クーシャンクーを習得することで、相手からの攻撃を巧みにかわすことができるようになります。例えば、背後から抱きつかれた際には、身体をひねることで脱出する技術も含まれます。この型における手技は、対戦相手の頭部を封じることから、股間や膝、足に対する攻撃を容易にします。

松濤館のクーシャンクー

松濤館において観空大は、65の動作から成り、通常約90秒で演武されます。創始者の船越義珍自身が愛用していたこともあり、流派の代表的な型として認識されています。一方、観空小は観空大と似た演武線を持ちながらも、その始まりの動作に違いがあります。

この型は松濤館の必修型として、技術的にも高い価値があるとされ、他の型であるピンアン（平安）には、観空大のエッセンスが反映されています。

演武と影響

1939年には、大日本武徳会の将軍や関係者を招いた演武が行われ、松濤館流の創始者である長嶺将真が「北谷屋良ノ公相君」を、名喜真朝増が「公相君大」を、奥原宗廣が「松村ノ公相君大」を演武しました。このイベントは、クーシャンクーの重要性を示すものとなりました。

近年、全空連の得意形リストにも登録された「チャタンヤラ・クーシャンクー」は、沖縄の喜屋武朝徳から少林寺流、松林流に伝承されたものであり、糸東流にはもともと存在しない型でしたが、松林流から取り入れられ、現代の競技用に調整されています。これにより、クーシャンクーは国際的な場でも注目される型となっています。

まとめ

クーシャンクーは沖縄空手の深い歴史と多様な技術を持つ型であり、その学びは武道の習得において重要なステップを提供します。この型を通して、空手の本質や技術的な価値を理解することができるのです。

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