クーリー蒸溜所

クーリー蒸溜所：アイルランドのウイスキー史に名を刻む蒸留所

アイルランド、ラウス県クーリー半島に位置するクーリー蒸溜所は、アイリッシュウイスキー業界において重要な役割を担う蒸留所です。1987年、ジョン・ティーリングによって、かつてジャガイモ酒の製造所だった施設を転換して設立されました。この設立は、アイルランドにおけるウイスキー蒸留所の新たな幕開けを象徴する出来事となりました。

ティーリングは、ハーバード大学でアイリッシュウイスキーの歴史を研究しており、その栄枯盛衰を目の当たりにしてきました。その経験から、アイルランドのウイスキー産業の復興に情熱を注ぎ、クーリー蒸溜所の設立に繋がったのです。当初は2基の塔式蒸留器を備えた規模でしたが、その後、数々の受賞や買収を経て、現在の地位を築き上げてきました。

数々の受賞歴と企業買収

クーリー蒸溜所のウイスキーは、高い品質で知られています。1998年には、インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション（IWSC）でトロフィーを受賞。これは、クーリー蒸溜所が初めて受賞した栄誉となりました。その後も、IWSCや世界ウイスキー賞など、数々の賞を受賞し続け、その品質の高さを証明しています。

2011年にはビーム社に買収され、その後2014年にはサントリーホールディングス傘下となりました。現在は、サントリーグローバルスピリッツの子会社として、世界中にアイリッシュウイスキーを送り出しています。企業買収を経る中で、クーリー蒸溜所の規模は拡大し、より多くのウイスキーを生産できるようになりました。

多様な製品ラインナップ

クーリー蒸溜所は、様々な銘柄のウイスキーを生産しています。代表的な銘柄には以下のものがあります。

キルベガン: 1957年に閉鎖されたキルベガン蒸溜所で製造されていたウイスキー。1989年以降クーリーが所有しており、熟成期間の異なる様々な製品が販売されています。
グリーノア: シングルグレーンウイスキー。トウモロコシのみを原料とし、バーボン樽で熟成されるのが特徴です。熟成期間の異なる様々な製品が販売されており、希少価値の高いものも存在します。
カネマラ: ピーテッドシングルモルトウイスキー。アイリッシュウイスキーでは珍しい2回蒸留で製造され、バーボン樽で熟成されています。ピートの香りが特徴で、シングルカスクやカスクストレングスの製品もあります。
ターコネル: シングルモルトウイスキー。かつてはオールド・ワット蒸溜所で製造されていましたが、1925年の閉鎖後に休眠。1988年にクーリーが銘柄を購入し、復活しました。
* 2 Gingers: 2011年にビーム社に買収された2 Gingersウイスキー社が製造するブレンデッドウイスキー。

これ以外にも、クーリー蒸溜所はポティーンも生産しており、その生産拡大も計画されています。

蒸留プロセス

クーリー蒸溜所では、2基の塔式蒸留器とポットスチルを使用しています。多くのアイリッシュウイスキーが3回蒸留されるのに対し、クーリーのウイスキーは2回蒸留されることが一般的です。3回目の蒸留を行わないことで、より豊かな香味成分を保持できるとされています。

クーリー蒸溜所の未来

クーリー蒸溜所は、伝統的な製法を守りつつ、常に革新的な取り組みを行っています。その結果、数々の賞を受賞し、世界中のウイスキー愛好家から高い評価を得ています。サントリーグループの一員となったことで、さらなる発展が期待されます。今後もクーリー蒸溜所から目が離せません。

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