クール (放送)

クールとは

「クール」は、日本の放送業界に特有の用語で、おおよそ3ヶ月間の期間を指します。これは年間を通じて、1月から12月までの期間を4つのクールに分けて管理するためのものです。一般的には冬、春、夏、秋の各季節に基づき、それぞれを第一、第二、第三、第四クールと呼んでいます。これにより、番組制作や改編のタイミングが明確になります。

言葉の由来

「クール」の語源については諸説存在します。一説では、フランス語の「cours」（期間やコースを意味する）から派生したとも言われています。また、医療分野で使用されていた「クール（Kur）」や、英語で四半期を意味する「quarter」の略称「qr.」の誤解から来ているのではないかという意見もあります。

用語の広がり

この「クール」という言葉は、特にバラエティ番組の出演者たちが頻繁にこの業界用語を使うことから、放送業界に全く関係のない一般の人々にも広まるようになりました。これにより、テレビを視聴する際に「クール」が四半期の意味を持つことが一般的に理解されるようになりました。

日本でのクールの考え方

日本の放送業界では、1970年代までは主に新年度の4月から始まり、10月にかけての半年ごとの番組改編が主流でした。しかし1980年代に入ると、ドラマなどで人気俳優を巡っての競争が激化し、1クール単位での制作がスタンダードになりました。この結果、視聴率が重要視されるようになり、番組の更新や打ち切りが3ヶ月ごとに判断されるようになっていきました。

人気番組については、以前は単純に放送回数を増やして延長するケースが多かったですが、現在では『はぐれ刑事純情派』や『相棒』などのようにシリーズ制やシーズン制を採用することが一般的です。また、『ごくせん』のように一度終了した後で続編を制作する方法も広まりました。さらに、時にはアメリカで使われる「ミニシリーズ」と呼ばれる形式も見られ、短いエピソード数で構成されることもあります。

番組の放送形態

特にゴールデンタイムに放送されるドラマやバラエティ番組では、クールが終了すると次の週から新たなクールの作品が始まるのが通例でしたが、最近では「改編期」と呼ばれる数週間、特別番組が放送されることも増えました。これに伴い、放送枠は全く新しい形態に変更されることもあります。このため、通常の13話を放送する代わりに、9〜11話といった短いエピソード数になることが多くなっています。

特殊事情と動向

NHKの連続テレビ小説は視聴率が高く、通常2クール構成で制作されることが多いです。その一方で、大河ドラマは基本的に4クールと通常のドラマよりも長めに設定されています。民放のドラマでも、TBSが制作する『渡る世間は鬼ばかり』などは原則として4クールを基準としており、『水戸黄門』なども2クールで制作されていることが多いです。ただし、最近では『水戸黄門』も1クールに短縮されています。

一方、アニメや特撮番組では、対象年齢によってクール数が異なる傾向があります。特に低年齢層向けの作品は4クールものが多く、視聴者に商品プロモーションの目的から比較的長い期間放送されます。

ラジオのプロ野球中継

ラジオにおいても、4月から9月にかけての2クール中はプロ野球中継が放送されることが通例です。しかし、秋の改編期に入ってもプロ野球シーズンが続いているため、放送編成には調整が必要となります。シーズン中とオフシーズンの番組が混在することで、放送内容や時間延長について特別な対応が求められることもあります。

このように、「クール」という用語の背景には、日本の放送業界の独特な制作スタイルや視聴者の期待、時代の変遷が反映されています。

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