グアドループ島侵攻 (1759年)

グアドループ島侵攻：七年戦争におけるイギリスの戦略と代償

1759年、七年戦争のさなか、イギリス軍はカリブ海に浮かぶフランス領グアドループ島を攻撃し、数ヶ月にわたる戦闘の末に占領しました。このグアドループ島侵攻は、イギリスが世界各地でフランスを攻撃する戦略の一環として行われました。

背景：世界規模での対フランス戦略

当時のイギリス首相ウィリアム・ピットは、フランス軍をヨーロッパから引き離すため、北米、アフリカ、インド、そして西インド諸島と、あらゆる場所でフランスに攻勢をかける戦略を採用しました。北米ではルイブールやケベックを、アフリカではセネガルを、インドではプラッシーを攻撃し、イギリスは勝利を重ねました。西インド諸島では、マルティニークとグアドループが標的となり、ペレグリン・ホプソンが西インド諸島における総司令官に任命され、ジョン・バリントンが副官として彼を補佐しました。

1758年11月、チャールズ・ヒューズ代将率いるイギリス艦隊はバルバドスへ向け出港し、翌年1月、ジョン・ムーア率いる艦隊と合流、総勢6,800人の兵力を擁する遠征軍となりました。

マルティニーク攻撃の失敗とグアドループへの転換

当初の目標はマルティニーク島の攻略でした。ホプソンはフォール＝ロワイヤルに上陸しフランス軍と交戦しましたが、地形の険しさから進軍を断念。サン・ピエールへの上陸も検討されましたが、守備の堅さから攻撃を中止し、グアドループ島へ目標を転換しました。

グアドループ島への侵攻と占領

1月22日、イギリス艦隊はグアドループのバス＝テール島への砲撃を開始し、街を破壊しました。その後、イギリス軍は上陸し内陸へ進軍しましたが、山岳地帯でフランス軍の抵抗に遭遇しました。しかし、イギリス軍内では病気が蔓延し、ホプソン自身も病に倒れました。2月27日にホプソンが病死すると、バリントンが指揮を引き継ぎましたが、すでに多く兵士が病に倒れ戦線を維持するのも困難な状況でした。

一方、別働隊を率いていたジョン・ムーアはフォール＝ルイを攻略し、守備隊を駐留させました。バリントンは残存兵力を集め、フランス軍を多方向から攻撃し、5月1日、ついに総督シャルル・フランソワ・エマニュエル・ナドゥー・ド・トライを降伏させました。

占領後の状況とパリ条約

降伏後、マクシマン・ド・ボンパール率いるフランス救援軍が到着しましたが、すでに総督が降伏していたため撤退を余儀なくされました。イギリスはグアドループ島を占領したものの、現地の気候への不適応から病気が蔓延し、年末までに駐留軍の多くが死亡しました。

1763年のパリ条約において、フランスがカナダをイギリスに割譲する代わりに、イギリスはグアドループ島をフランスに返還しました。グアドループ島侵攻はイギリスにとって戦略的勝利であったものの、同時に大きな代償を伴うものでした。

脚注

Anderson, Fred. Crucible of War: Faber and Faber, 2000
McLynn, Frank. 1759: The Year Britain Became Master of the World. Pimlico, 2005
British expedition against Martinique and Guadeloupe
Olive Tree Genealogy
* An Historical Sketch of the 64th Regiment by Major HG Purdon

もう一度検索