グアラニーのイエズス会伝道所群

グアラニーのイエズス会伝道所群

グアラニーのイエズス会伝道所群は、ブラジルとアルゼンチンの国境地域に位置する重要な文化遺産で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。この遺産は17世紀初頭にイエズス会によって築かれたグアラニー族への伝道所群を指し、キリスト教の普及を目指した拠点として機能しました。しかし、この伝道所はただの信仰の場に留まらず、先住民たちが安全に共同生活をするためのコミュニティとしても機能していました。

イエズス会は、先住民が強制的な労働や奴隷狩りから逃れるための場所を提供し、彼らの生活を支えるためのさまざまな活動を行いました。特に、この地域の共同体は、平和的な共生を基にした理想郷の形成を目的としており、教育や農業の発展にも寄与しました。こうした活動は、先住民の文化や伝統を守る一助となり、彼らの自立を促す結果となりました。

登録物件

現在、この遺産群にはブラジルとアルゼンチンの各地に位置するいくつかの伝道所が含まれています。ブラジルの登録物件としては、「サン・ミゲル・ダス・ミソンイスの遺跡群」が挙げられます。これはリオグランデ・ド・スル州のサント・アンジェロにある遺跡で、特に観光客に人気があります。

一方、アルゼンチンでは4つの重要な遺跡が登録されています。これらは:
1. サン・イグナシオ・ミニ - 伝道所として重要な役割を果たしました。
2. ヌエストラ・セニョーラ・デ・サンタ・アナ - 地域の信仰の中心となっていました。
3. ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロレート - 現存する最古のイエズス会伝道所として知られています。
4. サンタ・マリア・ラ・マジョール - 時代を超えた文化的価値を持っています。

登録経緯

この遺産は1983年にブラジルのサン・ミゲル・ダス・ミソンイスが単独で世界遺産に登録されました。翌1984年にはアルゼンチンの4つの伝道所が「グアラニーのイエズス会伝道施設群」として新たに登録されました。これにより、ブラジルの遺跡もこのグループに含まれることとなり、現在のユネスコの扱いでは「サン・ミゲル・ダス・ミソンイス遺跡」を拡大登録した形として評価されています。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしていることが評価されました。

• - (4) 人類の歴史における重要な時代を示す建築様式や景観の優れた例として認識されています。この基準により、グアラニーのイエズス会伝道所群は人類の文化遺産としての価値が高く評価されているのです。

これらの遺産は、過去の人々が創り上げた精神的、文化的な世界を現代に伝え続けており、訪れる人々に深い感銘を与えています。

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