グスタフ・フォン・シュモラー

グスタフ・フォン・シュモラー（Gustav von Schmoller, 1838年6月24日 - 1917年6月27日）は、ドイツの経済学者であり、ドイツ経済学における新歴史学派の代表的な人物として知られています。

生涯と業績

シュモラーは、1838年にドイツ南部のハイルブロンで生まれました。テュービンゲン大学で国家学を修めた後、ハレ大学、シュトラースブルク大学、そしてベルリン大学で教授を歴任しました。1881年からは『シュモラー年報』を編集・刊行し、経済学界に大きな影響を与えました。また、アドルフ・ワグナーやルヨ・ブレンターノとともにドイツ社会政策学会の創設に尽力し、1890年から亡くなるまで会長を務めました。

シュモラーは、経済学を経験科学・歴史的学問として捉え、普遍的な経済法則の存在を否定しました。彼は、オーストリア学派のカール・メンガーによって経済理論の軽視を批判され、両者の間で激しい論争が繰り広げられました。これは「方法論争」として知られています。また、マックス・ウェーバーとの間では価値判断論争も行いました。シュモラーは、個別的な歴史研究と国家の役割を重視し、新歴史学派の中でも右派のA・ワグナーと左派のL・ブレンターノの中間に位置する、折衷的な立場を取りました。

1900年以降、シュモラーは上下2巻からなる大著『国民経済学概論』を出版しました。これは彼の集大成とも言える著作であり、当時のドイツ経済学界に大きな影響を与え、彼を巨匠としての地位を確立させました。また、その影響力は経済学界のみならず、ドイツの支配階層や官界にも及んでいました。

シュモラーは、その生涯を通じて、ドイツの経済学、社会政策、そして政治に多大な影響を与えた人物でした。彼の経済学に対する歴史的・経験的なアプローチは、後の経済学研究に大きな影響を与え、現在でもその意義は評価されています。

著書

シュモラーは、数多くの著作を発表しており、その中には以下のようなものがあります。

『法及び國民經濟の根本問題』(1939年、戸田武雄訳)
『重商主義とその歴史的意義』(1971年、正木一夫訳)
『ドイツ中世都市の成立とツンフト闘争』(1975年、瀬原義生訳)
『国民経済、 国民経済学および方法』(2002年、田村信一訳)

これらの著作は、彼の経済学に対する考え方や歴史研究の方法論を示す上で重要な資料となっています。

シュモラーの影響

シュモラーは、その学説や活動を通じて、ドイツの社会政策や経済政策に大きな影響を与えました。彼の経済学に対する歴史的・経験的なアプローチは、現代の経済学においても重要な視点として受け継がれており、その研究は今もなお続いています。また、講壇社会主義者としての彼の活動は、社会問題に対する関心を高め、社会政策の発展に貢献しました。

シュモラーは、単なる経済学者という枠を超えて、当時のドイツ社会に大きな影響を与えた思想家であり、社会改革者でもありました。

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