グッバイ・クリストファー・ロビン

『グッバイ・クリストファー・ロビン』（原題: Goodbye Christopher Robin）は、2017年に公開されたイギリスの伝記映画です。監督はサイモン・カーティスで、主なキャストにはドーナル・グリーソンやマーゴット・ロビーが名を連ねています。本作は、児童小説『くまのプーさん』の誕生に秘められた心温まる物語を、原作者A・A・ミルンとその息子クリストファー・ロビンの関係を通じて描いています。日本国内では劇場公開されませんでしたが、2018年にブルーレイとDVDが発売され、多くの観客の目に触れることとなりました。

ストーリー

本作の物語は、1941年に届いた悲しい電報をきっかけに始まります。ミルン夫妻に届いたその電報が何を告げるのか、その詳細が明かされる前に物語は過去へと遡ります。1916年、A・A・ミルンは第一次世界大戦のソンムの戦いに徴兵され、そこでは100万人以上が命を落としました。ミルン自身は生きて帰還しましたが、戦争の恐怖と痛みが彼の心に深く刻まれました。

基礎的な生活を取り戻そうとする中、妻のダフネが妊娠したことがわかりますが、彼女が望んでいた女の子ではなく、男の子であるクリストファー・ロビンが生まれます。彼らは新たに家族となり、子守としてオリーヴを雇います。クリストファーはオリーヴに懐き、「ヌー」と呼ぶ仲に成長していきました。

戦後、ミルンは文筆業に復帰しようと試みますが、反戦を訴えることに苦労します。その間、彼は生活の場を田舎に移しダフネとの関係が一時冷却化してしまいます。子守のオリーヴがその役を離れる際に、クリストファーの気持ちを考えるようにと苦言を呈する場面が印象的です。そこから、ミルンはクリストファーと共に過ごしながらアイデアを得て、児童文学の創作に取り組むこととなります。

こうして生まれた物語が『くまのプーさん』です。これが世に出ると、予想以上の成功を収め、ミルン家は経済的に潤いますが、同時にクリストファーとの関係は悪化の一途を辿ります。クリストファーは自らの生活を見つめなおし、父との葛藤を深めていきます。特に、寄宿学校でのいじめや自身の立場についての葛藤は、彼にとって大きな試練となります。

第二次世界大戦が勃発する中、クリストファーは徴兵検査を受けることになりますが、結局は合格しません。戦場での体験と、父が創り出した『くまのプーさん』への不満が交錯し、クリストファーはついに不満を父親にぶつけます。1941年、再び届いた電報にはクリストファーの行方不明が報告され、家族は絶望に暮れますが、その後彼は無事に帰還します。戦場で『くまのプーさん』がどれほど愛されているかを目の当たりにしたクリストファーは、父との和解を果たすことになります。

その後、クリストファーは結婚し、小さな書店を営むようになりますが、彼は『くまのプーさん』から得られた印税を一切受け取らない道を選びました。この選択には、彼自身の生き方や父との確執、さらに自身が求める人生を反映させたものでしょう。

キャスト

本作には、A・A・ミルン役にドーナル・グリーソン、ダーシー役のマーゴット・ロビー、クリストファー・ロビン役にウィル・ティルストンなどのキャストが出演しました。他にも多くの役者たちがこの感動的な物語を彩ります。

評価

『グッバイ・クリストファー・ロビン』は、映画批評サイトによっても高く評価されています。主な批評サイトでは、戦争の恐怖と、子供の純真さを両立させることの難しさを描きつつ、児童文学の古典を生み出した作家の内面的な葛藤に対して貴重な洞察を提供しているとの意見が多く見られます。

この作品は、親子の絆や人間の成長、そして文学の持つ力を深く感じさせる感動的な映画として、多くの人々に愛されています。

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