グライムスゴールデン

グライムスゴールデン：幻のリンゴ、その歴史と特徴

「グライムスゴールデン」（Grimes Golden）は、アメリカ合衆国ウェストバージニア州で偶然発見されたリンゴの古い品種です。別名として「Golden Pippin」、「Grimes」、「Grimes Golden Pippin」とも呼ばれています。このリンゴは、その独特な風味と、後世の品種に与えた影響から、リンゴ栽培の歴史において重要な位置を占めています。

特徴

グライムスゴールデンの木は生育が旺盛で、直立して広がる樹形をしています。晩生性で豊産性ですが、収穫量は年によって変動することがあります。

果実は中型から大型で、円形から長円形、やや円錐形をしています。熟すと果皮は黄緑色から黄金色に変わり、表面にはサビが発生しやすいのが特徴です。果肉は果汁が豊富で柔らかく、糖度が高く（時に18%に達する）、独特の酸味とスパイシーな風味があります。

生食も可能ですが、酸味が強いため、アップルソースなどの加工に適しています。また、糖度が高いことから、発酵させてアップルジャック（リンゴを原料とする蒸留酒）の原料としても利用されていました。

歴史

グライムスゴールデンは、19世紀初頭にアメリカ合衆国ウェストバージニア州のトーマス・グライムス・シニアの農場で、偶発実生として発見されました。1805年には取引された記録が残っており、その起源は18世紀に遡る可能性があります。1857年には「Grimes' Golden Pippin」という名前で記録されています。

20世紀初頭までは、アメリカ合衆国で比較的広く栽培されていましたが、その後、栽培は減少しました。しかし、その遺伝的な影響は、後世の品種にしっかりと受け継がれています。

派生品種

グライムスゴールデンは、リンゴの著名な品種である「ゴールデンデリシャス」の親であると考えられています。その他にも、グライムスゴールデンを花粉親とする品種として「Jonagrimes」（種子親は「ジョナサン」）、「Jubilee」（種子親は「マッキントッシュ」）、「Sinta」（種子親は「ゴールデンデリシャス」）があります。また、グライムスゴールデンを種子親とする品種としては、「Winter Gem」（花粉親は「コックスオレンジピピン」または不明）が知られています。

これらの派生品種からも、グライムスゴールデンがリンゴの品種改良に大きく貢献したことがわかります。

現代におけるグライムスゴールデン

現在では、グライムスゴールデンはあまり一般的ではありませんが、その独特の風味と歴史的価値から、一部のリンゴ愛好家や栽培家によって大切にされています。もし見かけることがあれば、ぜひその風味を試してみてください。

参考資料
Grimes Golden - Pomiferous
Grimes Golden apple - Orange Pippin

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