グラスゴー地下鉄

グラスゴー地下鉄：世界最古級の地下鉄を巡る旅

スコットランド最大の都市、グラスゴーの地下を走るグラスゴー地下鉄は、世界で最も歴史の古い地下鉄の一つです。1896年の開業は、ロンドン、ブダペストに次いで世界3位、もしくは4位（イスタンブールの地下鉄の開業時期の解釈によっては3位）という、由緒ある歴史を誇ります。

開業当初は、サンフランシスコのケーブルカーのようなグリップ式のケーブルカーとして運行していましたが、1935年には電動車への切り替えが行われ、現代に続くシステムへと進化を遂げました。興味深いのは、開業当初の運行方法です。乗客の快適さを最優先に考え、座席数プラス4名という定員制限を設け、それ以上の乗車は拒否していたそうです。このエピソードは、日本の地下鉄建設に大きな影響を与えた早川徳次氏にも伝わっており、氏の『ゆとりある生活』という理念に繋がったと言われています。

環状線と独特の運行システム

グラスゴー地下鉄は、全長約10.5kmの環状線一本のみで構成されています。線路は全線複線で地下に敷設され、地上にはブルームローン車両基地が設置されています。環状線であることから、外回りの列車は「アウターサークル」、内回りの列車は「インナーサークル」と呼ばれ、それぞれ時計回り、反時計回りに運行されています。一周にかかる時間は約24分と短く、車両はロンドンの地下鉄と同様にコンパクトな3両編成です。運行時間は、平日と土曜日は午前6時30分から午後11時30分まで、日曜日は午前10時から午後6時までとなっています。

主要駅とアクセス

主要駅であるブキャナン・ストリート駅は、グラスゴーのもう一つの主要駅であるクイーンストリート駅と接続しています。一方、中央駅とは直接接続していませんが、セント・イノック駅から徒歩圏内に位置しています。また、パーティック駅はアベリオ・スコットレールの地上駅と直結しており、他の交通機関との接続も良好です。

省エネルギー設計：重力勾配の活用

グラスゴー地下鉄の大きな特徴として、駅間における重力勾配の活用が挙げられます。駅を出発する際には30‰程度の勾配を利用して重力を利用し加速し、次の駅に到着する直前には20‰程度の勾配で減速します。この仕組みによって、加減速に必要なエネルギーの一部を重力に依存することで消費電力を抑え、省エネルギーに貢献しています。この勾配の変化に対応するため、駅構内では線路の勾配に合わせてホームが弓なりの形状になっているのが特徴です。

歴史と料金

1896年12月14日の開業以来、グラスゴー市民の足として活躍してきたグラスゴー地下鉄は、1977年から1980年にかけて全駅の大規模改修工事を経ています。現在の料金は、片道が大人1.40ポンド、子供（16歳未満）0.70ポンド、往復が大人2.60ポンド、子供1.30ポンドとなっています（2012年9月現在）。

まとめ

世界最古級の地下鉄であるグラスゴー地下鉄は、その歴史と独自の運行システム、そして省エネルギー設計など、多くの魅力を兼ね備えています。コンパクトな車両と短い運行時間、そして主要駅との接続も良好で、グラスゴー観光の際に利用するのもおすすめです。歴史と技術の融合を感じられる、忘れがたい地下鉄体験となるでしょう。

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