グラスゴー市銀行

グラスゴー市銀行の歴史と破綻

グラスゴー市銀行（英: The City of Glasgow Bank）は、スコットランドのグラスゴーに1839年に設立されました。当初の資本金は656,250ポンドで、これは2005年換算で4600万ポンドに相当します。この銀行は、主に小規模な投資家を対象とし、顧客サービスの一環として夜間も営業を行っていました。金融業界では比較的新しい試みであり、特に当時の銀行システムの中でも一風変わった存在でした。

設立当初は比較的順調に運営されており、1842年にはグラスゴーのバージニアストリートに本店を開設し、1851年にはグラスフォードストリートに移転しました。運営の中で、銀行は株主におよそ9%から12%の配当を常に支払っていましたが、1857年の恐慌によって一時的に営業を停止します。しかし、その後営業を再開し、事業を継続させられると、1870年代には133の支店を展開し、預金は800万ポンドに達しました。

破綻への道のり

しかし、成功は長続きせず、1877年に7000ポンドの債務超過が発覚し、銀行は約2か月間営業を停止しました。債務問題が解決されたように見えたため、1878年6月には再び公式に12%の配当を発表。しかし、10月には銀行の突然の閉鎖が発表され、正味負債は600万ポンドを超え、多くの不良債権が存在することが明らかとなりました。これに加え、オーストラリアやアメリカ合衆国の投資などから生じた投機的な活動が次々と露見し、銀行自体の財務状態が悪化していたのです。

更に衝撃的だったのは、銀行の金の保有報告が虚偽であること、貸借対照表や損益計算書も偽装されていた事実でした。その結果、株価は実際の企業の価値を大きく上回る236ポンドで取引されていました。これらの偽装工作が功を奏していたため、銀行に対する信用は徐々に薄れていくこととなりました。

法的措置

銀行の破綻後、取締役たちは逮捕され、1879年1月にはエディンバラの刑事裁判所で裁かれることになり、全員が有罪判決を受け、懲役刑が科されました。破綻の影響で、多くの企業や株主が多大な損失を被り、ある株主は自身が詐欺によって騙されて株主になったと訴えましたが、最高裁判所はその主張を認めませんでした。この一連の出来事は、イギリス全体での金融制度改革のきっかけとなり、有限責任制度の普及や、預金量の減少を促すこととなります。

まとめ

この銀行の破綻は、グラスゴーの金融史において非常に重要な事件であり、その影響は現在でも語り継がれています。グラスゴー大学の文書館には、この銀行に関するアーカイブが保管されており、銀行の破綻は文学作品にも取り上げられ、さまざまな形で後世に影響を与え続けています。特に、ガイ・マクローンの作品やBBC Radio 4によるドラマ化が話題を呼びました。金融業界には、多くの学びがこの事件から得られており、当時の銀行運営における教訓は、現在の金融システムの形成において重要な役割を果たしています。

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