グラニースミス

グラニースミス：鮮やかな緑と爽やかな酸味のリンゴ

グラニースミスは、オーストラリアで生まれたリンゴの品種です。その鮮やかな黄緑色の果皮と、シャキシャキとした食感、そして強い酸味が特徴で、世界中で広く栽培されています。名前の由来は、このリンゴを最初に育てたマリア・アン・スミス（通称「グラニー・スミス」）にちなんでいます。

特徴

グラニースミスの木は、直立して広がる性質を持ち、樹勢は中程度です。剪定には注意が必要で、強い剪定は避けるべきです。豊産性で、わずかに隔年結果性があります。成熟が遅い晩生品種であり、自家不和合性です。

果実は中型から大型で、やや円錐形をしています。果皮は丈夫で滑らか、光沢があり、基本的に黄緑色をしていますが、日光に当たる部分が紫褐色に染まることがあります。果点（果皮にある小さな点）が目立ち、輪状になることが多いです。果肉は硬く、肉質は粗めでシャキシャキしており、果汁は少なめです。甘みもありますが、酸味が強く、褐変しにくい性質を持っています。ただし、温暖な地域でじっくりと成熟させたものでは、果皮が黄色くなり、酸味が弱まることがあります。

貯蔵性が高く、特に熟す前に収穫したものは長期間保存できます。生食も可能ですが、酸味が強いため、アップルパイなど加熱調理に用いられることが多いです。煮崩れしにくいのも、調理用として重宝される理由の一つです。

生産

グラニースミスは世界中で生産されており、特にアメリカ合衆国やヨーロッパでの生産量が多いです。アメリカでは、リンゴの生産量ランキングで常に上位に位置し、重要な品種となっています。ヨーロッパでも、総生産量の数パーセントを占めています。

歴史

グラニースミスの起源は、1868年にマリア・アン・スミスが育てた1本のリンゴの木に遡ります。彼女は、‘フレンチクラブ’という品種の種子を蒔き、その実生の中から偶然生まれたのがグラニースミスでした。このリンゴは調理に適していたため、スミス家は販売するようになりました。その後、1891年の農業展示会で1位を獲得し、1895年にはニューサウスウェールズ州農業省によって「グラニースミス」と命名され、大規模な栽培が始まりました。20世紀半ばには、オーストラリア国外でも広く栽培されるようになり、世界的な品種としての地位を確立しました。

マリア・アン・スミスの功績を称え、彼女が住んでいた場所はグラニースミス・メモリアルパークと名付けられました。また、1985年からは毎年10月末に、グラニースミス・フェスティバルが開催されています。

また、ビートルズのアップル・レコードのロゴに採用されたことでも知られています。

派生品種

グラニースミスを種子親とする品種として、‘レディウィリアムズ’や‘レッドグラニースミス’などが知られています。これらの品種は、グラニースミスの特徴を受け継ぎつつ、新たな魅力を加えています。

グラニースミスは、その独特の風味と用途の広さから、世界中の人々に愛されるリンゴです。生で食べるだけでなく、お菓子や料理の材料としても、その存在感を発揮し続けています。

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